モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

コストの削減をどのように認めて頂くか

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 小売店においてレジ袋を無償で配る事を禁ずる法律が出来るのだそうです。

 
 その表向きの理由は環境保護だそうで、近頃盛んに言われるようになったマイクロプラスチックの問題等と一緒に世間を煽り立てるような、そのようなムードを感じる今日この頃であります。


 なお、弊社がちょうど1年前から拠点を構えている山梨県においては、イオンやアピタといった全国チェーンはもとより、オギノやいちやまマートといった地場系のスーパーマーケットでもレジ袋の有料化が進んでおりまして、マイバックを持参するか、レジ袋を買うか、もしくは店舗があらかじめサッカー台付近に用意している使用済み段ボールを使って購入済み商品を持ち帰るシステムが定着しております。

 この山梨県における取り組みにすっかり馴染んだ私にとってみれば、レジ袋が全国一律に有料化されてもさほど影響は無いのでありますが、他方で、ビジネスの面でこの問題を考えた場合、そう単純に賛同しても良いものなのか、複雑な思いを隠せないという風に申し上げたいと思うのであります。



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 レジ袋というものが存在するからには、それを作って生計を立てている人や、それを売って生計を立てている人もいるわけでして、レジ袋を強制的に有料化して消費量を減らす事で、レジ袋で生計を立てておられる方の収入を減らし、職を奪う事に繋がるのも自明であります。


 これはかつて、携帯電話を0円も同然の値段でバラ撒く事で消費を促し、国産端末だけで毎年5000万台売って雇用と税収を生み、さらにデジタルカメラや液晶やリチウムイオンバッテリーの技術革新に貢献しまくった、かつての我が国の携帯電話業界の姿と重なって見えて仕方がないのであります。

 携帯電話のそういった貢献のほとんど一切を無視して、「新興キャリアのイーモバイルに不利だから」という大義名分で分離プランを強制した結果、携帯電話が急激に売れなくなって撤退を余儀なくされるメーカーが相次ぎ、それに伴って多くの工場労働者が職を追われて年越し派遣村の住人に転身せざるを得なかった状況をたった10年前に見てきた手前、私としてはこの度の国策に無批判で賛同出来ないのであります。


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 レジ袋有料化の表向きの理由は環境保護にあるわけですが、現実問題としては、それよりもむしろ小売業各社のコスト削減が本当の理由である、という声をチラホラと耳にするわけであります。


 小売業は全般的に利益率が極めて低い環境下にあります。大手スーパーがプライベートブランド作りに熱心なのも、その低い低い利益率を少しでも上向かせる為に商品開発に勤しんでいるからでありまして、それと並行してコスト削減に必死になって取り組むことで低い利益率を少しでもマシなものとすべく血道を上げているのであります。

 ですから、コンビニオーナーに奴隷労働を強いるのも、レジ袋を有料化するのも、一つの目的を達成するための手段の一つに過ぎない、という風に私は解釈しております。



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 レジ袋の有料化が利益率の低い小売業のコスト削減に寄与し、ある種救済を目的として国を挙げて取り組むのだとするならば、それは素直に賛同するより他ありません。


 本日私が山梨のローカルスーパーオギノで買い物をした際にもアルバイト募集のポスターを目にしたのですが、そこに書かれていたアルバイトさんの時給は810円でありました。
 私が20年以上前の高校生の頃に都内のガソリンスタンドでアルバイトして頂いた時給が850円から900円でした。
 それよりも安い給料で、明らかに当時の私よりハイクオリティな仕事をしているのに、それよりも給料が安いのですから、ではレジ袋有料化でもなんでもして、少しはオギノの店員さんの給料が増えるようになってくれれば良い、と、考えが180度変わってしまうのであります。


 レジ袋を作る人や売る人を助けるか。それとも低利益であえぐ小売業を助けるか。


 我が国の衰退ぶりを痛感する、究極の二者択一という感じがしないでもありません。


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 そもそも弊社が横浜から山梨に拠点を移したのも、経営危機に直面し、大胆なコスト削減を迫られたというのが大きな要因の一つであります。


 あれから1年が経ち、さすがに経営破綻の危機からは免れる事が出来ましたけれども、しかしながら、コストを増やしてまでお客様サービス向上に振り向けられるような余力までは生み出せていないのが現状です。

 横浜から山梨に移った事で、直接店頭に出向いて購入する事が出来なくなった点に対するネガティブなご指摘は今でも多少あって非常に心苦しく思っている所ではありますが、されとて、店頭で直接購入するお客様が多い時でも週に2~3名に留まり、大きな負担となっていた状況を踏まえれば、心苦しいとは思いつつも、再開という答えは出せないのでありまして、そういった趣旨をなるべく万人に円滑にご納得いただける術は無いものかと、今でも思案に暮れている所であります。


 それこそ、環境保護の観点から山梨に移転しました、とか、弊社が横浜から山梨に移転する事でCO2を削減します、といったレジ袋論法でも持ち出せばもう少しすんなり納得してもらえるのかもしれませんが、あいにく私はそういった姑息な手段を用いるのが好きではなく、ですから真正面から、「お金がないから無理です」と、正直に申し上げる日々を送っているというわけです。



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 我が国には本音と建前の文化があります。


 ウサギという動物を「1羽」「2羽」と数えるようになった経緯は、ウサギは精進料理で禁じられている四本足の動物ではなく、二本足で行動する鳥だから食べてもOKという建前が所以だとされています。


 建前どころか屁理屈ではないか、とも思えるわけですが、そうやって屁理屈とも言えるような複雑な理屈をありとあらゆる分野で縦横無尽に駆使する事で成り立ってきたような所が我が国の文化としてあるわけでして、ですから、弊社ももう少し「本音と建前」をうまくお客様にお伝え申し上げてコスト削減を図っていくのがうまいやり方なのでしょう。


 そういう事は個人的にとても好きになれないので内心のせめぎ合いであります。


 果たして、今後どうやってコスト削減をお客様にご納得して頂けるようにするのか。

 まだまだ悩みは尽きないといった感じでしょうか。





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