モックセンター のブログ

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携帯電話に関する正しい歴史認識を広める必要があります

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 菅総理が就任会見で語った言葉の中で、聞き捨てならない誤った歴史認識を吹聴している箇所がありました。


www.itmedia.co.jp

 9月16日の内閣総理大臣就任会見では「国民の財産の電波の提供を受け、携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して、世界でも高い料金で、20%の営業利益を上げ続けている」との理由から値下げに対する意欲を示す。

 「大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して」とは、一体何事でしょうか。


 そもそも国は2005年まで3社にしか全国展開の免許を与えなかったではありませんか。


 市場が飽和しきって膠着するまで国が3社しか免許を与えなかったから3社でシェアを構築されたわけで、それを「寡占状態を長年にわたり維持して」とは、とんだ責任転嫁、歴史の書き換えではありませんか。


 国のトップが平然とこのような発言をするのを、そのまま許してよいのでしょうか。


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 携帯電話が本格的に普及する前段階、第二世代型方式を展開するにあたっては、NTTドコモ以外にもトヨタ、日産、JRグループ、KDD(京セラ)などの資金力や実力のある大企業が参入へ強い意欲を示してきたのに、NTTドコモにだけ全国展開する免許を与え、あとは2枠(東名阪のみ1枠追加)を用意して、NTT以外の各社で地域を分け合ったりして上手くやれという指示を出してきたのは、他でもない旧郵政省、日本政府ではありませんか。


 第2世代携帯の時代は酷いドコモ優遇がまかり通りました。

 トヨタ系の旧日本移動通信IDO)が通信方式にGSMを採用したいと打診しても政府がそれを突っぱねて、NTTが開発した日本独自のPDCを採用させ、それがアメリカ政府から参入障壁だとクレームが付くと、既にPDCの設備投資で数千億注ぎ込んでいたIDOとDDIセルラーに対して「クアルコムcdmaOneを導入しろ」と圧力をかけて、IDO・DDI陣営を二重投資による債務超過で倒産危機に追い込むといった事がありました。


 NECが開発した折りたたみ式の携帯電話が大ブームを起こした時には、NECがそれをドコモとJフォン(JR(日本テレコム))に卸そうとすれば、ドコモがNECに圧力をかけてJフォンへの供給量を抑え込み、Jフォンの顧客獲得を露骨に妨害するといった事も起きました。


 そうやって政府の露骨な市場介入で今日の携帯電話業界が形作られてきたわけであって、そういった政府のこれまでの行いを一切合切棚上げして、全部大手3社が悪いんだと切って捨てるというのは、あまりに無責任なトカゲの尻尾切りと批判されるべきではないでしょうか。



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 政府がトップダウンで携帯電話に関する費用を減らして民心を買おうとするのであれば、政府が携帯電話機の値段を恣意的に釣り上げている点を大きな矛盾として指摘しておかなければなりません。


www.itmedia.co.jp



 昨日のブログ記事でも取り上げたこの記事ですが、記事中にあるように、2007年、当時の菅総務大臣により行われた電話機の販売価格規制、詳しく言えばそれまで0円とか、高くてもせいぜい2万円くらいで売られていた携帯電話を高く売れと国が指示した事によって、国民の支出を0~2万から3万~6万へ激増させたという経緯に触れなければなりません。


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 また、近頃はわざわざ電気通信事業法を改正してまで「値引きは2万まで」と義務付けた事によって、それまで場合によって0円や2万円程度に戻っていた購入価格が再び激増して、12万円のiPhoneを36回に分割払いする消費者を量産する事態へと繋がっていったわけであります。


 携帯料金が高い高いと言いつつMNOキャリアを使い続ける消費者の多くが通信料金と端末の分割払いを一緒くたに捉えて「高い」と不満に感じているのは自明でして、これではいくらキャリアが頑張っても消費者を満足させる事ができる筈もなく、ただただ国民の不満のはけ口として携帯キャリアをサンドバック代わりにし続けるだけという、不毛な状況になっていくのではないのでしょうか。


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 携帯大手3社が叩かれっぱなしで反撃に転じないのも、不思議で仕方有りません。


 つい先日最終回の放送を終えた大人気ドラマ「半沢直樹」では政府から500億円の債務放棄を強いられた東京中央銀行があの手この手を駆使して反撃に出る様を描いていましたが、あそこまでドラマティックにはならないとしても、キャリアなりに反撃する方法がいくらかあるのではないでしょうか。


 私が考える最も有効な反撃手段は、テレビCMを全て引っ込める、というものです。


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 ただでさえコロナ禍で減収減益を強いられているテレビ局です。そこへ超大口顧客のMNOキャリアが一斉にCM出稿を取りやめたら、テレビ局各局はこれまでの携帯値下げ云々の報道姿勢を改めざるを得ません。


 そもそもテレビCMを止めたところで消費者が携帯電話の使用を辞めて解約に走る筈が有りません。サブブランドがCMを流しまくっても9割の消費者はMNOを使い続けたわけで、サブブランドのCMも含め全部引き上げてしまえば、MNOキャリアへのメディアスクラムは早晩急ブレーキをかけられるに違い有りません。


 それで急にテレビ局が寝返って菅総理を叩き始めるような極端な事にはならないでしょうが、テレビが一切スルーするようになるだけでも、この燃え盛る大火事が沈静化するのではないでしょうか。


 願わくば、テレビ局各局とも仲良くやって、高くて不満のある方はサブブランドをご活用下さいと、普及啓蒙に務めてクロージングすれば良いのではないでしょうか。



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 とにかくこの2週間ばかりの間に起こっている強烈なメディアスクラム、そして政府の市場介入にブレーキを掛ける必要があるように思われます。


 12年前の時のような大量失業や工場閉鎖を繰り返さないためにも、正しい歴史認識の啓蒙、そしてこの事態の一刻も早い沈静化をお願いするばかりであります。 




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