モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

NTTは信頼に値する良い会社でしょうか?

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 NTTの持株会社によってドコモの株式公開買い付け(TOB)が行われ、いよいよ成立となりました。


k-tai.watch.impress.co.jp



 元々ドコモはNTTからスピンオフして出来た会社ですから元の鞘に収まったと言えばそれまでですが、出来た当初の経緯はそんなに穏やかなものではなく、NTT本体への反骨心みたいなものをバネに、NTT本体とは随分と異なる企業風土を育んできたのがドコモでしたので、ドコモ側からすればあまり手放しでは喜べないのでは?という風に私は受け止めております。


 私もこれまで関係者として、客としてNTTにも関わってきましたが、その感想として、NTTを決して良い会社とは評価して来なかったものですから、NTTが評価できない具体的な理由をつらつらと書き連ね、今後のドコモの行く末を憂いてまいりたいと思います。



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 NTT東日本が手掛けるフレッツ光回線の悪質販売トラブルが長年に渡り続いております。




2020年
www.itmedia.co.jp



2018年
www.kokusen.go.jp



2016年
www.j-cast.com



2015年
www.sankei.com




 遡ればもっと前から続いており、ご存知の方も少なくないと思われますが、この問題は相変わらず続いております。


 「悪いのは販売会社であってNTTでは無い」というお考えを持つ方もおられるかもわかりませんが、かつて社会問題になった悪質な新聞勧誘で同じ理屈が通らなかったのと同じで、やはり胴元の管理能力が問われて然るべきなのではないでしょうか。


 どうもNTTは顧客のクレームを甘く見るフシがあって、その甘さゆえ、この問題が長年ダラダラと解消できない根本的な要因に繋がっているのではと、私には思えてならないのです。



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 私が固定電話側のNTTに関係者として携わっていた経験についてお話したいと思います。


 私は2008年に平間通信(株)を創業する前に、とあるNTT東日本の販売代理店に勤めておりました。

 その会社は主に分譲マンションの電話設備の集合盤(通称MDF)までNTTの光ファイバーを引き込む為の許可を、マンションの理事会から得るというプロセスに携わっておりました。


 私は最初から管理職として転職したため頻繁にマンション側の顧客と接する立場では有りませんでしたが、おもにマンションの管理に携わる財閥系や電鉄系の管理会社様から私のもとに寄せられたNTTの酷い対応に関する苦情に着想を得て、NTTと管理会社様との中間を取り持つクッション役としての機能を自分の会社内で作る事で管理会社様の利便性を向上させ、取引拡大に繋げていきました。


 要する私はNTTの酷さを逆に商機とした格好であるわけですが、それはそれとして、2000年代中頃のNTT東日本は当時の多くのマンション管理会社様が指摘するように、本当に酷かったとしみじみ実感致しております。


 具体的に何が酷いかと言えば、端的に言えば情報の管理がズサン極まるというもので、例えばそのマンションに光ファイバーが引き込まれているか否かを116に電話してもオペレーターが答えられず「マンションの管理会社にお問い合わせ下さい」と責任転嫁してみたり、マンションの居住者様で訪問販売をお断りする旨を116に申し立てたのに全く意向が受け入れられずに繰り返し訪問販売が訪れたり(※)、そういった苦情がマンションの管理会社様へ行き、それが私の元に「どうしたら良いでしょうか?」という風に届くという有様だったわけです。


 この時の経緯を踏まえ、NTTは顧客のクレームを甘く見るフシがあると私は感じているのであります。


※ NTT東日本には当時から勧奨拒否リストという情報が蓄積されており、本来なら116に苦情を入れれば以後の訪問販売が止まるルールになっていたのですが。


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 携帯電話が飛ぶように売れていた2000年代前半頃、若い人たちがドコモを選ぶ理由は「ドコモ同士で絵文字のやり取りが出来るから」や「NやPの折りたたみ端末が良いから」といった具体的なものが殆どでしたが、中高年の方々は「NTTだから安心出来る」といったイメージ先行型が圧倒的多数を占めておられました。


 私はそれを当時勤めていた携帯ショップで多くのお客様から伺いながら、もやもやとした複雑な思いを禁じ得なかったものでした。


 というのも、2000年代前半に中高年だった方々の多くはNTTに電話加入権をチャラにされた苦い経験を持っていた筈です。


 今の若い方に電話加入権と言ってもピンと来ないかもしれませんが、かつて電話を契約をするのに1回線72000円の権利をNTTや販売会社から買う必要があったのです。

 しかしそれをNTTが方針転換し、加入権無しでも電話を引けるようにしてしまったのです。それにより、それまで72000円の価値があった加入権は無用の長物と化しまして、かといってNTTが72000円を返してくれるという事でもなく、利用者全員の72000円の権利、資産価値をパーにされてしまったのであります。


 私も1996年に自宅にネットを引くのに渋々購入致しましたので、被害者の一人であります。NTTが方針転換するまではこの権利は転売する事も出来ましたし、借金の担保にする事も出来ました。企業ならそれを資産として帳簿に計上する事も出来ました。NTTはそういった有価証券のようなものを全ての電話契約者に全員もれなく買わせていたのであります。


 その加入権の金額1回線72000円が高いか安いかは個々人の感覚の違いがあるでしょうが、これまで「1つ72000円の資産価値がある」と吹聴して売りさばいていたものをほぼ無価値にした張本人たるNTTを「信頼できる」と評せるその神経が、私には到底理解できなかったのであります。


ja.wikipedia.org



 国内全体で価値が吹っ飛んで損をさせられた人の数は個人だけでも数百万人はゆうに越え、電話回線を複数保有していた企業はその分だけ電話加入権を買わされていたのでその分も被害額が大きかったわけで、それこそジャパンライフどころの騒ぎでは無かったと思わないでもありませんが、NTTはそういった脛に傷を持つ会社なのであります。


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 かつてNTTは、今で言うドコモショップのような対面窓口を全国津々浦々に設置しておりました。私は1990年代の末期に横浜市旭区の希望が丘駅近くのNTTの窓口で引っ越しの手続きをした記憶がありますので、少なくとも自治体に1つくらいの頻度で設置していたのではないかと推察されます。


 その希望が丘の対面窓口でなんの引っ越し手続きをしたのかと言いますと、NTT東日本の電話契約ともう一つ、当時私が契約していた「NTTパーソナル」のPHSの契約住所なのであります。


 しかしもう、その窓口も、そしてNTTパーソナルも、この世に存在致しておりません。



 NTTはコスト削減を表向きの理由に対面窓口をことごとく廃止にし、NTTと顧客が直接相対する機会を完全に奪いました。

 コスト削減を表向きの理由と書きましたが、本当は加入権の件で抗議されるのが億劫だったからなのではないかと私は邪推しているのであります。


 また、NTTが対面窓口を廃止してしまった弊害が色々起きているわけですが、その代表的なものの一つがオレオレ詐欺であります。


 オレオレ詐欺をめぐっては地域の自治体や警察が防止に向けた取り組みを色々と身銭を切って取り組んでおられるわけですが、これは本来なら電話の契約主体であるNTTが率先して取り組むべき事案であるのは間違いなく、自治体や警察等の税金で維持される公共インフラをフリーライドしているように思われてならないのであります。


 架空請求や迷惑メール、子供を標的とした様々な犯罪の帽子に携帯キャリアが率先して取り組んでいるのとはあまりに違いすぎると言えるのではないでしょうか。



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 NTTパーソナルについても触れておかなければなりません。


 1994年に携帯・PHSの買い切り制度が導入されてから、もっとも早く経営が頓挫した携帯キャリア(MNO)が、このNTTパーソナルであります。

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 サービスインが1995年でNTTパーソナルが消滅したのが1998年です。開業からたった4年、サービスインから3年で早くも放り投げてしまったのですから、あまりに堪え性が無いという他ありません。公共インフラを担う会社がこれで良いのか?と疑われても仕方有りません。


 私は以前からPHSという日本発祥のハイブリッドな移動体システムを非常に評価していて、サービス開始当初に抱えていたハンドオーバーの拙さの問題なども技術革新でクリアするなど、将来が非常に楽しみであったわけですが、それをよりによってNTTが頓挫させて、PHS全体の足を引っ張り、悪いイメージを広めてしまったという風にネガティブに捉えております。


 なんせ日本発の技術ですから上手に育てていければ、あわよくば今のクアルコムcdmaのような巨大なものになって日本経済を支えていたかもしれないと思われていただけに、かえすがえすも、NTTはなんという不始末をしでかしてくれたのだと忌々しく思わないでも有りません。



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 他にも色々と書きたい事はありますが、いずれにしましてもドコモがNTT本体に飲み込まれてしまった事がドコモユーザーや関係者に悪い方に作用するのは間違いないだろうと私は見ておりまして、これから先が思いやられると感じております。


 私が大好きな携帯電話業界が、またひとつおかしな方向へ道を踏み外しつつあるのを目の当たりにし、今後果たしてどうようやってこの業界に踏みとどまろうか、悩みは深まる一方であります。



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