モックセンター のブログ

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携帯・スマホ販売店の何が消費者軽視で、何が問題であるか

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 ヤフージャパンのトップページにこの記事が載っておりまして、すぐに拝読いたしました。


headlines.yahoo.co.jp


 記事の見出しだけだと、いかにも販売店が一方的に悪いと断罪されているかのような印象を受けてしまいます。ですが、読み進めてみるとそこまで一方的ではなく、様々に議論の余地が残されているとも受け取れます。
 こういう扇動的な見出しは今に始まった問題ではありませんが、それにしても新聞社の良識を疑うと、私は思います。


 

 それはそれとして、私が今回非常に心配に思っているのは、総務省の覆面調査のやり方にあります。記事にはこう書かれています。

 今回の覆面調査のやり方が完全であったかどうかといえば、そうではない。ショップを訪問した調査員が、書類にサインをする直前に「持ち帰って検討します」と申し出て退店するという、いわゆる「寸止め」方式がメインだった。本当にぎりぎりのところ、契約直前まで粘って退席したのかという点にいささかの疑問は残る。

 まだ購入意思も定かではないお客様を相手に、くどくどと十数分もかけて注意事項のご説明など、出来るはずがありません。その無理な覆面調査をベースに行政指導や処分を行うのだとすれば、それは横暴とも言えるでしょう。


 私も元は販売側でしたので多少わかるつもりですが、この手の、お客様に面倒くさいと思われかねない説明事項は購入意思を確実にした段階まで待たなけれれば、お客様の購入意思を低下させて失注する事に繋がりかねません。手続きが面倒くさいと思われて契約を逃しては、お店側は困る訳です。

 ただしルールで定められた説明事項は必ず実行しなければなりませんので、お客様が購入の意志を確実にし、もはや失注は無いであろうという段階まで商談を煮詰めてから、ああいった面倒な説明事項を話し始めるのが、ごく普通なやり方だと思います。


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 私は先日横浜市内の家電量販店においてMVNOの新規契約をしてきたのですが、たかだかSIM1枚契約するのに、この手の説明事項がA4用紙で10枚近くに渡って用意されていまして、辟易としたものでした。


 店員さんはいわゆるキャリアヘルパーですから、上からの指示に応じているに過ぎませんので、店員さんの言うことに何一つ口を挟まずにスムーズに事が進むようなるべく協力しましたが、事情をよく知らない一般のお客様の中には、面倒くさくなって途中で放り投げてしまう人もいるかもしれません。

 また私の経験で恐縮ですが、キャリアに大きく依存しているお客様の中には、こういった細々とした注意事項に一つ一つ耳を傾けるのが苦手な人も、少なくないのではないだろうか?という感触を持っています。


 ここで言う「キャリアに大きく依存しているお客様」とは、ざっくりとした言い方をすると「MVNO」には向かない人、とでも言いましょうか。


 携帯電話が世の中に普及してから20年前後が経ちましたので、この年数にふさわしいリテラシーを持った消費者はそんなに妙なトラブルにも見舞われないと思います。裏を返せば、リテラシーが伴わない人は、そうなるに至る原因が必ずあります。
 そういう人に、いちいち十数分もかけてご説明申し上げた所で、果たして問題は解決されるでしょうか。このご説明の時間を増やしたりペーパーを増やしたりする事が「消費者重視」になるのでしょうか。


 私は、結局はまた「そんな話は聞いてない!」というトラブルに行き着くだけではないかと考えております。ですから、真に問題を解決したいのであれば、お店側ではなく、消費者の側にアプローチをかけるべきではないだろうかと、私は思います。


 それこそ、自動車保険の等級みたいなものを設けて、事故が少ない人ほど安くなる、そういう流れを作るべきではないでしょうか。


 ちなみに私の自動車保険は20等級です。



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 では販売店側には何も問題がないかと言えば、それもまた違うと考えています。



toyokeizai.net


 貧困やモラハラが問題ではないと言うつもりはありませんが、そちらは今回の本筋ではなく、記事中にあったこの部分を指摘したいと思います。


 無知な客や高齢者に売りつけやすいのは、128GBのSDカードだという。ネット通販などで買えば7000円程度、キャリア経由で買うと倍以上の金額になったりする。高齢者に128GBは必要ないとわかっていても、心を痛めながら適当な言葉を投げかけてどんどん買わせる。


 この手の問題が延々と繰り返されておりまして、総務省がここに踏み込まないのが不思議で仕方ありません。

 
 先日auショップに行きましたら、まさにこの高額なSDカードを分割払いで購入させる為の宣伝が窓口に施されておりまして、MNOの窓口でこれをやるのは危ういなと、もうだいぶ前から思い続けている事ですが、その思いを新たにしました。


 昔からキャリアも販売代理店も客単価を上げることに血眼になっています。それは経営課題として理解できるのですが、その手段が稚拙極まるのです。


 メールの使用もおぼつかない高齢者にパケット通信定額コースに加入させるとか、回線つきのデジタルフォトフレームタブレットを契約させるとか、手を変え品を変え、リテラシーの低い人をカモにするやり方をずっと続けてきまして、これは由々しきことであると考えてきました。


 こういう問題は複数のキャリアを取り扱う併売店にもありますが、やはり問題が大きいのはキャリアショップです。リテラシーの低い人はキャリアショップをキャリアが直営しているといって全幅の信頼を置く場合が少なくありません。そういった場所が、人の足元を見るような商売を平気で続けているというのが、実に嘆かわしいです。


 そこで働く現場の方々も、最初はおかしいと思っても、段々と感覚が麻痺していくんですね。とても心優しい、人柄の良い方が、こういった部分だけピンポイントに感覚を麻痺させて、平気で足元を見た販売をしていたりしますので、傍でそれを見ていて、言葉で言い表しようがない複雑な感情に見舞われます。


 最近はMVNOがブームになって、リテラシーの高い人が低い人に対してMVNOを推奨する事によってMNO離れが起き、十数年来繰り返されてきた悪しき慣行に対してお灸が吸えられるような状況にでもなれば、それはそれで良いことだと私は思っています。


 リテラシーの低い人を救えるのは、良識のあるリテラシーの高い人々だと思いますので、そういった面で皆様にも頑張って頂ければ、業界の健全化に繋がるのではないでしょうか。



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 最初に取り上げた毎日新聞の記事について、今時の言葉で感想を言えば「そこじゃない感」とでも言いましょうか、もっと目を向けてもらいたい問題が有るという事で結論づけたいと思います。


 MNOキャリアには、大企業としての矜持を持ってもらいたいものですね。









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