モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

富士通さんが携帯電話事業を売却しようとしている件

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 私の地元である川崎市中原区にはNECと富士通という日本を代表する電機メーカーの大拠点がありますので、昔から何らかの接点がありました。

 特にNECは城下町である向河原の中学校の学区が私の地元と重なる事もあって、同級生やご近所さんにNECに関係する人が少なくありませんでした。NECの経営状態が芳しくなく、ボーナスが現物支給になった時などは、お付き合いのある家族で現物支給された家電製品を買い支えるのが通例みたいになっていましたので、私の実家の家電製品にはNECのものが少なくありませんでした。昔はNECも白物家電を扱っていましたから、NEC製の冷蔵庫や洗濯機が、我が家の片隅に鎮座していたのです。


 富士通については城下町の武蔵中原南武線の駅で3つ離れていましたので家族云々というのはあまり無く、私自身は社会に出てから仕事やプライベートを通じて中の人と知り合う事が何度かありました。
 かつて江口洋介さんや唐沢寿明さんが出演なさっていた「白い巨塔」というテレビドラマの収録が富士通川崎工場の敷地内で行われていて、たまたまその場に居合わせたおかげで、生の江口洋介さんのお姿を拝見した事もありました。私は森高千里さんが結構好きな方でしたから、「あの人がモリタカの旦那かぁ。さすがにかっこいいなぁ。」と、色々な感情が込み上げてきたのが、まるで昨日の出来事のように思い出されます。

 という塩梅で、決して他人事とは思えない、今回のニュースです。


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 今からおよそ10年ほど前は、携帯電話の国内出荷台数は5000万から6000万台くらいありましたし、その殆どが国内メーカーによるものでした。当時日本市場で端末を売っていた外国メーカーと言えば、ノキアモトローラとパンテックとLGくらいで、それら全てのシェアを全部足しても5%にも届かないような、本当に国内メーカーの独壇場でありました。
 今思えば、その頃の国内メーカーはどこの会社も大なり小なり慢心みたいなものがあったと思います。シャープがウイルコムやマイクロソフトと提携してスマートフォンの開発に取り組んだり、各メーカーがしのぎを削るように世界最高峰のカメラを搭載しようと努力したりという試みは見られましたが、内向き志向と、ユーザーに喜ばれる技術開発という視点が欠けていたのは否めない事実でありました。

 当時私は携帯屋さんの雇われ店長をしていたり、既に弊社を設立して携帯販売店を運営していたりしましたけれども、お客様の反応は、目に見えて「飽き」が来ているのが明らかでした。その数年前くらいまではお客様も新しい携帯電話にそれなりに関心を寄せていましたが、もはやその熱が完全に冷めて、新しい携帯電話に買い換える意欲が薄れているのが、アリアリと伝わってきました。携帯電話の平均買い替えサイクルが3年を超えるようになったのも、たぶんこのくらいの時期だったと記憶しています。

 それに加えて、政府の国内産業に対する冷たい視線と言いましょうか、非協力的な態度も相まって、たった10年で両手でも数え切れないほどたくさんの国内メーカーの撤退と、莫大な数の失業者を出す運命を招いてしまいました。


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 多くの国内メーカーが早々と撤退を決めたのを考えると、富士通はよくここまで粘ったものだと思うのと同時に、本当にただ粘っただけで、特にここ数年は目新しい取り組みも見られず、返す返すも「ただ粘っただけ」で終わってしまった感がありました。


 私の考える富士通のイメージは「技術オタク」です。指紋認証を搭載した「NTTドコモ F505i モックアップ 3色セット - 保土ヶ谷モックセンター」や、タッチパネルを搭載した「NTTドコモ F900iT モックアップ 【ネコポス非対応商品】 - 保土ヶ谷モックセンター」等、技術的な野心を何度となく発揮してきました。
 それは富士通の良き伝統だったと私は感じているのですが、最近はこういった取り組みもなく、数多あるスマートフォンの過酷な競争の中で埋没していく一方でした。

 技術オタクなら技術オタクらしい製品作りが出来ても良かったと思うのです。

 最近は高い処理能力を必要とするスマートフォンゲームアプリも多数出てきていますから、世界を圧倒する必要以上にハイスペックな処理能力を持ち、さらに世界初の水冷型の本体冷却システムを搭載したマッチョなスマートフォン、みたいなものを作れても良かったのではないでしょうか。今後はVRが盛んになれば、この手のノウハウを持つ富士通は非常に有利な立場にあったと思うのですが、なぜ「日本製のマチガイの無いスマホ」みたいな、「This is 無難」を自らアピールし始めてしまったのか、悔やまれてなりません。


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 「日本はモノ作りの国だ」などと言われるようになって久しいわけですが、しかし実際には多くの製造業が左前になっていて、あまり芳しい話を耳にしない現状があります。「モノ作り」をしない人ばかりが大きな声を上げ、現実に見合わない、的外れなキャッチコピーを作ったりしている、そういう昨今です。

 台湾の会社に買われた事で息を吹き返してきたシャープのように、富士通もどこか別の国の人に買われた方が幸せになれるのかもしれませんですね。誠に残念ではありますが。