モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

良いコラボ、ビミョーなコラボ

.


 今年の3月頃にドコモから、「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボレーションしたスマートフォンが発売されるとの事です。
 ただ、かつてのドコモはこういった限定生産のコラボモデルもしっかりとモックアップを用意してくれていたのですが、N-02Eワンピースコラボモデルを最後に、コラボモデルのモックアップを作ってくれなくなってしまいました。ですから私がこのコラボモデルを生で見る機会は得られそうにない、そんな状況です。


 そして、こうなると携帯ショップさんも大変で、「こういう製品の申込みを受け付けていますよ」と店頭でアピールしたくてもポスターやパンフレットを見せるくらいしか手立てがなくなってしまうのであります。普段モックを使って接客するのが体に染み付いている携帯ショップの方々にとって、これはなかなか大変なことです。それこそ、落語家に扇子を持たずに高座に上がらせようとするようなものではないかと、携帯ショップの方々の心中を勝手にお察しする所です。

 そんなわけで、ドコモさんにはぜひ、コラボモデルのモックアップを作ってくれるようお願いする次第であります。


                              ■

 さて、これまで20年に渡って携帯電話に関連する仕事を続けてきた私は実に様々なコラボモデルを見てまいりました。その中では、お客様がグイグイと引きつけられるような強力なものもあれば、全く引力の欠片もないものまでございました。


 その様々なコラボモデルのうちいくつかをピックアップしてご紹介したいと思います。



hodogaya-mock.ocnk.net


 私が知りうる限り、日本最古のコラボ携帯がこのセルラーハローキティモデルではないかと思います。
 この時期の私はまだ携帯業界入りしておらず、まだ世の中的にインターネットの普及もそれほど進んでいなかったのもあって当時の評価を推し量るのは非常に難しいのですが、モックの人気は結構なもので、そのあたりから類推する限り、「良いコラボ」とジャッジしても良いのではないだろうかと思います。
 ただ、惜しむらくは、この2000年前後の時代の京セラは「超」がつく不人気メーカーでして、京セラのお膝元とも言える鹿児島でさえあんまり売れなかったという話もあったりしましたので、そのへんがハローキティの人気を打ち消してしまったような感じがしないでもありません。



hodogaya-mock.ocnk.net

 1999年から2000年にかけてくらいの時期に鳥取三洋電機がリリースしたC106STという機種のハローキティコラボが発売されまして、これの評判がなかなか良かったという事もあってか、今度は三洋電機本体からC401SAのハローキティコラボが発売されました。
 1999年の京セラ版もそうですが、このハローキティ3部作はいずれも筐体そのものにハローキティのエンブレムとでも言いましょうか、ハローキティそのものがどっしりと鎮座するデザインになっており、これが当時のキティラーの方々のハートを鷲掴みしたようで、すこぶる評判が良かったように記憶しています。ですからとにかくよく売れてくれました。
 さらに当時はドコモの折りたたみNシリーズが世の中を席巻して折りたたみブームになっておりましたので、「ハローキティ&折りたたみ」という、まるで「ハンバーグ&ステーキ定食」のような素晴らしい組み合わせで、これが売れ行きに繋がっていったのではないかと考えています。


hodogaya-mock.ocnk.net

 auとハローキティの蜜月関係に楔を打つ事となったのが、当時人気急上昇中であったソニーエリクソンのこのモデルであります。
 ハローキティのコラボモデルというのはとにかく売れるというのが私の経験として頭にありましたので、このソニーエリクソンハローキティコラボが発売される折には一生懸命発注したのを今でも覚えています。私は当時某携帯併売店のしがない雇われ店長をしておりまして、在庫の発注業務というのも当然職務の一つでありましたので、このハローキティモデルというビッグウェーブに乗り遅れてなるものかと、出来る限りの発注をしたわけです。
 そして念願の発売日を迎えたわけですが、意気揚々と店頭でキティラーのお客様方にこの商品の感想を伺うと、とにかく酷評のオンパレードでありまして、そして全くといっていいほど売れず、当時勤めていた私の職場のバックヤードにはこのハローキティモデルが在庫の山として積み上がったまま、何ヶ月も過ごさなければならなくなってしまいました。
 今回のハローキティモデルがこれまでと違うのは、今回はきせかえパネルに対応したモデルという事で、そのきせかえパネルの代表としてモックに設定されたのが、なぜか薔薇模様に小さくハローキティが描かれているだけという、これまでと比べてハローキティの存在感があまりに小さ過ぎるというのが不評酷評の主立った所だったように記憶していますが、とにかくこのハローキティモデルはさっぱり売れず、ついにauのハローキティコラボは4作目にして終了と相成りました。あのまま三洋電機で作り続けていればハローキティコラボも三洋電機の経営もそのまま続いていたかもしれないのに、というのは大袈裟ですが、ソニーハローキティの相性があんまり良くないと思い知ったこの一品でありました。


hodogaya-mock.ocnk.net

 まだなんとか「渋谷」とか「渋谷109」が若者文化の発信地として認識されていた頃に発売されたのが富士通のコラボガラケーです。3色展開でそれぞれセシルマクビーココルルなどのギャル向けブランドとコラボレーションをしたという事になっていますが、そうは言っても筐体はこの機種のベースとなったF-05Cそのもので、ただカラーリングだけ違うものを出してみたという中途半端さが嫌気されてか、ギャルの皆様方に愛される事無くその一生を終えたような、そんな話を聞いております。
 富士通という会社は多少縁があって中の様子がどうなのか想像がつくのですが、生真面目で一生懸命な理系男子の方々ばかり集まって「ギャルとは何か」を想像して、中高年のおじさん役員の人々を説き伏せて稟議書に何個も判子を押してもらってこういうものを作ってしまったんだろうなと、想像するだけで色々と侘しいものを感じずにはいられません。


hodogaya-mock.ocnk.net

 ギャル向けガラケーをリリースした10ヶ月後、今度は果敢にもギャル向けスマホに挑戦したのが我らの富士通でした。この「arrows kiss」というネーミングも充分チャレンジングですが、ここにポップティーンとのコラボモデルまでつぎ込んできたわけですから、とにかくギャル向けの何かを開拓したくて仕方がなかったのではないかと、当時のモバイル開発部門の状況を想像しております。おおよそ、富士通とギャルという全く真反対の物質をコラボさせようというのが無茶だったのではないかと思いますけれども、それでも執拗に食い下がった富士通は、F-09DF-03Eと続けざまにギャル向けスマホを繰り出すものの、結局ギャルの皆様方に振り向いてもらえぬまま、今日へと至ったのであります。
 富士通はキラキラしてゴテゴテしたものこそがギャル向けだと信じて疑わなかったものの、当のギャルの皆様方がシンプルイズベストのiPhoneにどんどん流れていったというのが、なんとも皮肉という事ではないでしょうか。


hodogaya-mock.ocnk.net

hodogaya-mock.ocnk.net


 私が個人的に高く評価しているのが、かつてシャープが手掛けたことのあるQ-potとのコラボです。限定生産でしたし、二代目はまだスマートフォンの売上的にも厳しい時代のものですから数字で評価するのは難しいかもしれませんが、このQ-potコラボの2品は女性のお客様からの評判が非常に良く、実機は持てないけどせめてモックだけでも部屋に飾りたいという方からのご注文もある、非常に珍しい商品です。
 最近はメーカー各社が他社との差別化で大変苦労しているようにうかがっていますが、だとすれば筐体でこのように再びQ-potとのコラボのモデルを作って売ってみるのも良いのではないかと思います。今のシャープのスマートフォンはユーザーからの評判もまずまず良好なようですから、中身もしっかりしてなおかつ筐体のこういったコラボデザインで一気に他社との差別化が図れるのではないでしょうか。また、Q-pot以外にもキルフェボンとか、そういった有名スイーツ店とのコラボがいろいろあって良いように思われます。


hodogaya-mock.ocnk.net

 ソフトバンクモバイルの最初期に発売されたのがこのガンダムのコラボモデルです。私は昔も今もアニメには非常に疎いのでガンダムの知識も無いに等しいのですが、こちらの商品は今でもモックに根強い人気がありまして、非常にありがたく思っています。さすがに発売から10年以上が経ちましたので弊社に入荷してくるのも年に1回あるかないかの頻度ですが、たまに入ってきた時には、まるで宝石でも見つけたかのような嬉しい気持ちになります。

 そういえばソフトバンクはあんまりコラボモデルを出さないキャリアでしたね。そんなソフトバンクが2016年の暮に珍しく発売したスターウォーズのコラボスマホは、いまだに公式ホームページで絶賛発売中の扱いになっているようで、という事は売上が芳しくないという意味なのでしょう。やはりiPhoneへの依存度が高いキャリアですから、それ以外のメーカーでコラボモデルを出すというのはリスキーなのでしょうね。



                       ■

 格安スマホの台頭などの影響もあって通信キャリアと端末メーカーの繋がりがますます希薄化していくようになるでしょうから、そうなってくるとコラボモデルを出すというのは以前にも増して厳しくなっていくのでしょうが、私としてはどこかでまたQ-potコラボの商品が出るなどして、弊社もその恩恵に浴せたら最高に良いなと、そんな風に気をもんでいる所でございます。