モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

昔は携帯電話の申込みがとても簡単でした

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 時々お取引先の携帯ショップさん店頭にて、先方のスタッフさんが接客をする様子を眺める機会があります。


 その様子を見るたびに思うのは、今の携帯屋さんは伝えなければならない事柄があまりに多過ぎて、気の毒だなぁという事です。


 弊社も10年前まで携帯ショップを経営しておりましたので大変さを味わう経験をしておりますけれども、それにしても今の携帯電話契約はあまりにも複雑難解で、これをお客様のテンションを下げないように説明し切るのは至難の業だと、私は思います。


 昔は、今では考えられないくらい携帯電話の申込みが簡単に出来たのです。


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 私が生まれて初めて移動体の契約をしたのは1995年、まだ16歳の高校2年生の時だったと思います。


 当時の関東地方で契約できる移動体の会社は7社ありました(ポケベルを除き)。NTTドコモ、IDO、東京デジタルホンツーカーの携帯4社と、NTTパーソナル、DDIポケットアステルPHS3社となります。


 今以上に無鉄砲だった当時の私は、どこかの通信会社を契約するとだけ決めてバイクで渋谷の家電量販店に出向き、店員さんの話を伺って最終的に契約したのはPHSのNTTパーソナルとなりました。
 まだ携帯電話の買い切り制度が始まったばかりで、周りの同級生はおろか、大人でさえ携帯など持っていない時代の事でしたので、周囲に相談するという選択肢はありませんでした。自分の思いつきと、家電量販店の店員さんのアドバイスのみによって全ての事項が決定されたのです。


 さて、そこで問題です。


 当時の私は16歳です。つまり未成年です。未成年である私が、親に全く相談もせずに家電量販店に出向いていきなり契約してくる事など出来るでしょうか。


 それが全く不思議な事に、当時は契約出来たのです。当時も一応親権者の同意を得なければならないようなルールがあったらしいのですが、それを知ったのは契約してからだいぶ経ってからの事です。
 本人確認書類は当時既にバイクの免許を持っていたのでそれを見せれば良く、書類に名前と住所と自宅の電話番号だけ書いて、お金を払って、ほとんど待ち時間らしい待ち時間も無く、実にすんなりと移動体デビューを飾ることに成功したのでした。




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 私が携帯電話業界に足を踏み入れたのは22歳、西暦2000年のミレニアムイヤーです。


 世の中は不景気真っ只中で、真面目に勉強して大学を出た同級生たちは皆就職に苦労して、やっと入った会社でも最低賃金も同然の安い給料で働き始めたばかりというその頃、私が足を踏み入れた携帯電話業界は、まさにこの世の春を謳歌している最中でありました。


 私の勤務先である携帯ショップの受付カウンターでは、契約を希望するお客様に3名4名と横にズラッと並んで座って頂き、私1人で同時に申し込みを受け付けるという荒っぽい事を毎週末のようにこなしておりました。


 春になれば進学を決めた高校生や大学生がこぞって携帯電話を契約し、子供の付き添いで来ただけのつもりの親御さんまで「どうせなら私も」と一緒に携帯デビューを飾る塩梅で、実によく売れました。だから給料もどんどん上がりました。


 当時は、さすがに未成年者の契約をするのに親権者の同意が必須だという風に、5年前と比べればいくらか厳格にはなっていたものの、実に簡素な書類にサインと三文判を押せばOK!というような、まだまだ緩くて抜け穴だらけの制度でありました。


 親権者の同意だけでなく、成人の一般的な申込み手続きも実に簡素でありました。


 4枚綴くらいの申込書の1枚目に名前と住所と自宅の電話番号を書いてもらい、あとはお客様に料金プランなどのご希望をヒアリングしてマルをつけたりレ点をつけたりして、お客様から本人確認書類として免許証やパスポートのコピーを取らせてもらい、携帯キャリアの受付センターにFAXをして、そこから20分くらい経つとFAXで回答が届いて、晴れてお客様の契約が完了。既に通話出来る状態になった端末の通話テストをしてお客様に引き渡す。それだけの事でした。

 ドコモだけは若干スキームの違いがありましたが、お客様から見た場合の流れの違いはほとんど皆無と言っていいくらいの些細なものでした。


 今思い出しても、おおらかな時代だったと思います。



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 2000年から2005年位までは携帯ショップの現場で働き、そこから2007年くらいまでは販売会社の中の人となってお客様と接する機会がほとんど無い日々を送り、2008年に弊社を起業して携帯ショップを開業した為、再びお客様と接する立場になりました。


 ちょうどその年から「分離プラン」なるものを携帯キャリア全社で取り扱うようになりました。これがまた非常に面倒で頭がクラクラいたしました。


 だいたい私はお客様に料金プランと携帯の使い方くらいしか説明して来なかったのです。その料金プランにしても実質的には3つくらいしか選択肢がありませんでしたので、頭を悩ませる必要もありませんでした。
 ソフトバンクだけは他社に先んじて分離プランを展開していましたのでスーパーボーナスとか月月割なる単語を開業前に予習することが有りましたが、とにかくテンションが下がる携帯キャリアだとしか感じませんでした。


 分離プランになって料金プランの選択肢はほとんど無くなりましたのでその点での面倒臭さは軽減されたものの、端末の販売総額がいくらで、分割の月々の支払額がどうで、という新たな面倒臭さが何十倍にも負担に感じましたし、このくらいの時期が、今に繋がる極端に面倒くさくて複雑難解な料金プランや申し込み手続きへの分岐点という事になったのかもしれません。



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www.itmedia.co.jp



 この記事を素直に楽しめる人は凄いと、私は感じます。


 料金プランと、それに連なる割引プランやオプションサービスの、なんという難解な事でしょうか。読んでいるうちになんだかわけがわからなくなってきます。
 この記事を書かれた記者さんの筆力は問題ないと思います。文章としては楽しく読めるのですけれども、いかんせん、官官に出てくるわけのわからないキーワードで挫折してしまうのです。


 私は既に手持ちの携帯電話契約を全てMVNOとサブブランドに切り替えてしまったので昨今のMNOがどういうサービスを展開しているのかほとんど追いかけていなかったのですが、なぜ多くの消費者は、こんな複雑難解な料金プランのMNOを使い続けるのか、私には到底理解できません。


 申し込みの方法や料金プランや各種オプションの類のどれを取っても、MVNOの方が遥かにわかりやすいではありませんか。


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 私が個人で使用しているのはマイネオのドコモ回線ですが、契約内容はたったこれだけです。


 MVNOであれば大抵の場合、使用するパケット量に応じた数種類の料金プランを一つ選ぶだけで、オプションがどうとか、テザリング契約がどうか等と頭を悩ませる必要がありません。だから現在では、むしろリテラシーに不安のある初心者クラスの人ほどMVNOを利用するべきではないかと、そのように思えてなりません。



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 私が今後再び携帯ショップの店頭に立ってお客様に料金プランのアドバイスをする事は無いだろうと思います。そうであって良かったと胸をなでおろしているのと同時に、現代の携帯ショップのスタッフさんは、売れない、給料増えない、手続きや仕組みがややこし過ぎるetc、とにかく気の毒に思えてなりません。


 せめて、何かのきっかけで再びたくさん売れるようになって働く人々の給料がどんどん上がっていくようになれば良いのにと思うのですがね。



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