モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

ガラケーユーザーにスマホをゴリ押しするのは如何なものでしょうか

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 最初に宣伝させていただきますと、本日1月23日に格安SIMMVNO)キャリアのマイネオさんが運営しているマイネ王(※)のサイト上で弊社代表末田、つまり私のインタビュー記事が掲載される事になっております。


 インタビュアーはデイリーポータルZやねとらぼでご活躍中の人気フリーライターの辰井裕紀さん(Twitter:@pega3)に担当して頂き、JR山梨市駅目の前の「街の駅山梨」において、私自身について、モックアップについて、携帯電話業界について、山梨についてetc、コーヒーを飲み干して喉がからからになるまで喋らせて頂きました。

 私の言動はともかく、たびたび記事をバズらせている人気フリーライターの辰井さんの手腕で大変面白い記事に仕上がっておりますので、どうか皆様もご笑覧いただけますと幸いに存じます。


※ マイネ王 王国通信
https://king.mineo.jp/magazines/special


【注】このマイネ王さんの記事は、いわゆる広告記事ではありません。昨秋に依頼があり、それをお受けしたものとなります。よって[PR]のような注意喚起をする性質のものではありません。




  それでは本編へ。



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 NTTドコモが3G端末の巻き取りにかこつけて、ガラケーユーザーに対しスマートフォンを使用させようという動きを強めており、私はその様子を大変懸念しております。


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 ここ1ヶ月前後の間にドコモがリリースしたCMやプロモーションムービーの類で既にこれだけの量があり、ドコモの熱量が充分過ぎるほど伝わってくるのでは、と思います。


 ドコモはガラケーユーザーがこれまでと近い感覚で携帯電話を使い続けられるようにガラホ製品も複数用意しているわけですが、それにも関わらず遮二無二スマホへの移行を促そうとする理由は非常にハッキリしており、それすなわちARPUを向上させたいからに他なりません。


 多数のガラホユーザーが実質的に通話とメールにしか利用しないためにARPUが低く、ここにユーザーを集めてもドコモの収益力アップに繋がりません。

 ですからあの手この手でスマートフォンを使わせて、国から命令された値下げによる減収を補いたいという意図があるわけです。


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 ドコモも営利企業であり、まして上場企業ですから、株主利益の追求が至上命題であります。なんとか売上と利益を増やさなければなりません。


 さはさりながら、公共インフラを担う企業として、「ガラケーを使い続けたい」というユーザーの強い意思を捻じ曲げてまで利益を追求する事は、果たして許されるのでしょうか。


 かつてのドコモには公共インフラを担う企業としてのプライドがあって、それがらくらくホンハーティ割引、イマドコサーチのような社会的弱者に寄り添うサービスの開発に繋がっていったと私は評価しているのですが、今のドコモにはそのような気風が完全に消え失せて、それこそただの守銭奴に成り下がってしまったのではと、大変残念に感じているのであります。



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 私がモック屋さんを始めてから既に11年の歳月が経ちましたが、この11年でもっとも多く受けたお問い合わせの内容は「モックの電池カバー(リアカバー)を本物の携帯電話に流用できないか?」という趣旨のものです。
 この趣旨のお問い合わせが全体の9割近くを占めております。


 この種のお問い合わせがあまりに多いのでヤフオクの商品説明にも複数箇所で「答えられない」と書いているのですが、それでもなお圧倒的な割合でこのお問い合わせが寄せられますし、電話での問い合わせもかなりの数にのぼります。


 また、ヤフオクなどのフォーム上からのお問い合わせについては申し訳ありませんが全て予め用意してあるコピペで瞬時に返答するようにしているわけですが、さすがにお電話で寄せられたお問い合わせにコピペで自動音声を流すわけにはまいりませんので、なるべくお声を傾聴するようにしております。


 そのお声を一つ一つ伺って感じるのが、ガラケーからスマホへ移行する以前の問題として、機種そのものを変える事への強い抵抗感を持っておられる方が殊の外多い、という感想です。


 今のガラケーを購入した時に使い方を習得するのに大変苦労されたと記憶されている方々は、もう二度とあのような苦労を繰り返したくない為に、今のガラケーに不具合が生じてもなんとか修理してでも使い続けようと思われるのです。

 それでキャリアショップに修理を依頼しても、もう部品の保管期限が過ぎているから修理ができませんとけんもほろろに断られて、それでわたくしどもが販売しているモックアップに着目した、という経緯の方が、それはそれはとても多くいらっしゃったのです。


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 そういったお話を一つ一つ伺っていて、そういえば私が携帯屋さんでお客様の接客にあたっていた時にも、とにかく使い方が変わることに強い抵抗感をお持ちのお客様が少なからず存在していたのを思い出しました。


 ヒンジやリアカバーが割れたり欠けたり、もしくは電池が劣化し、ご家族に「新しいのに替えたら?」と促されてしぶしぶ携帯屋の門を叩いてみたものの、やはり新しい携帯電話に尻込みをしてしまうというのです。


 それで私が主に使っていた提案は、同じメーカーの同じ形状のモデルを提案する事でした。


 これまでドコモのパナソニック製折りたたみモデルをご使用になっていたお客様には同じくパナソニック製の折りたたみモデルをお見せし、「どうですか?使い方は変わりそうですか?」とご意見を聞き、ボタンの配置などに特に変化がなく、電話帳データの移行さえこちらで処理すれば、そのまま使い続けられそうだと心が前に傾く様子を見て、それでご提案を進めたものでした。


 とにかく「環境を維持する」事が重要なテーマというお客様が、非常に多くいらっしゃるのです。



 これは携帯電話の問題に限りません。


 例えば東日本大震災の発災後に、被災された方がお住いになる仮設住宅がご近所さんとバラバラになってしまったり、故郷からあまりに遠ざかったりしてしまった事が原因で、せっかく震災から生き延びてこられたのに、その後に心を崩されてお亡くなりなってしまう方も少なくありませんでした。

 
 世の中にはそういう人もいるのであって、そういう人のご意思も最大限尊重されなければならないのではないでしょうか。
 
 さすがに3Gを停波させずにそのまま使い続けてもらうのは無理だとしても、ガラホという便利なものがあるのですから、LINEのプッシュ通知はもうすぐ使えなくなってしまうのですが、そもそもこれまでのガラケーにもそんな機能無かったわけですから、これでいかがでしょうか?と、お客様に寄り添った提案をやっていくべきなのではないでしょうか。


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 ドコモはガラケーユーザーにスマホ移行を勧める中で、ご不明な点はドコモショップにお任せください!という風なセールストークを使っているわけですが、しかし実際に困ってドコモショップに行ってみれば「予約のない急な来店は2時間待ち」だの、果てはドコモ直営店をバッサリ閉鎖するなど、そのセールストークを本当に守る気があるのか、本当はすぐに梯子を外すつもりなのでは?と、疑わしい部分も少なくありません。


www.docomo-cs-tohoku.co.jp


 なんとドコモ東北は直営6店舗のうち実に5店舗を2月末に一気に閉鎖するというではありませんか。

 代理店が運営している店舗が経営難で閉めるならともかく、経営を維持する資金力が充分ある筈のドコモ直営店がこの有様では、代理店経営のドコモショップが今後どうなるのか、ますます雲行きが怪しいと言わざるを得ません。

 このような状況下で情報力の弱いユーザーに対して軽々にドコモショップに任せろ等と宣伝するのはあまりに無責任です。


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 川崎市南部で育って今は山梨県の果樹園の目の前に住んでいる私からしますと、スマートフォンというのは便利な都会暮らしで、ガラケーは牧歌的な田舎暮らしというような対比が出来るのではないかと感じております。


 確かに都会は便利です。私の地元川崎市中原区は武蔵小杉ブームの恩恵で実に様々な商業施設が揃い、24時間365日いつお腹が空いても食べに行けるファストフード店が徒歩3分圏内に複数あり、コンビニも複数からよりどりみどりであります。

 それと比べて山梨の今の環境は最寄りのコンビニまで2キロも離れていて、夜に食べに行ける場所が限られているのはもちろん、夕方にお腹が空いても夕食の時間になるまでご飯屋さんが開いていないからコンビニに頼るしか無いという、川崎と比べると不便極まりないのですが、しかしこれといった騒音がなくとても静かで、夜は必ず星空が見え、夏は日が沈めばクーラーのいらない気温までしっかり下がってくれる、人間的でのどかな日々が味わえる良さもあるわけです。


 結局都会が良いのか田舎が良いのかの二項対立と同じで、スマートフォンが良いのかガラケーが良いのかの二項対立も、それぞれ尊重し合うことが必要なのではないかと私は思うのです。



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 近年の携帯電話業界は経営的な意味においても精神的な意味においても、とにかく余裕がありません。

 そしてその余裕の無さが、情報力の弱い、本来であれば保護されて然るべき弱者に一気にしわ寄せがいっている感じがありまして、由々しき事態であります。


 こういう時にこそ資金力に余裕のあるMNOキャリアが音頭を取って環境の維持に努めるべきであり、ドコモにはそのあたりの自覚を強く促していきたいものだと考えております。
 



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