モックセンター のブログ

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赤ロム裁判は携帯電話業界に何を残したのか

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 家電量販店やネット通販でシムフリースマートフォンを分割払い、もしくはクレジットカードのリボ払いで購入して、その後支払いが滞ってしまったとしても、シムフリースマートフォンが赤ロムになる事はありません。


 そもそもそんな機能が無いという事と、赤ロム化させる法律上の裏付けが無いからであります。



 他方で、ドコモauソフトバンクなどのMNOキャリアで購入したシムロック有のスマートフォンを分割払いで購入して、料金の支払いを滞らせてしまった場合、SIMカードの通信機能を停止するだけでは留まらず、スマートフォン本体の通信機能までもストップさせられます。

 これを俗に「赤ロム」と呼びます。通信機能を止められると端末のアンテナマーク(アンテナピクト表示)が赤い色に変色する事から「赤ロム」という呼び名が定着しました。



 この赤ロム化の対応を業界の先陣を切って始めたのがソフトバンクでありました。


 元々携帯電話には紛失した端末を第三者に悪用されるのを防ぐ目的で、端末の通信機能を停止する機能が備わっております。


 この機能は紛失・盗難端末の悪用防止のほか、犯罪に使われる等の理由により警察や裁判所から要請があった場合に行使される性質のものだったわけですが、あろう事かソフトバンクは、その機能を犯罪性の無い民事上のトラブルで乱用し始めたわけです。


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 料金未払いの当事者が通信機能を停止させられても、それは契約や約款に定められている行為ですから当然なのですが、問題はそのスマートフォンなどの端末をネットオークションや業者を介して購入した善意の第三者までもが巻き添えを被る所にありました。


 そしてこの問題は、まずはマニア的な人々の間でネット掲示板などの場で盛んに議論が行われ、おおむね議論の行き先はソフトバンクの横暴さ、不条理さに向かう流れがスタンダードとして徐々に広がり始め、そして、当時少しずつ芽が育ちつつあった中古端末売買業者がその影響をモロに被るようになり、とうとうこの問題は民事訴訟に発展。 

 遡ること11年前の2009年、中古端末の販売業者とソフトバンクが法廷を舞台に戦いを繰り広げる事と相成ったわけです。



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 果たしてその決着は、知識の乏しい裁判官がソフトバンクの連れてきた敏腕弁護士軍団の言い分に乗せられて確たる法的根拠も無いままソフトバンク勝訴の判決を下し、その判例が今日の携帯電話業界に暗い影を落とし続けるという、非常に寒々しい未来を招来しました。


 「犯罪に使われる恐れがある」とのソフトバンク側の主張が裁判官の心証に効いたというのが当時のマスコミの方々の論評だったのですが、単なる料金未払いが犯罪に使われる恐れ云々というのは論理の飛躍も甚だしいわけであります。


 そしてこの裁判の行方を見たドコモやauも、これは好都合とばかりに同様の運用をスタートさせ、全国の大勢の善意の第三者たちが民法の規定を無視した不条理の嵐、阿鼻叫喚が繰り返される悲劇へと繋がっていった、というわけであります。



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 不動産ローンや自動車ローンの支払いを滞らせた場合の取り扱いについては法律の整備が充分行き届いておりますので、大手のディベロッパーが債権者の場合と中小の不動産屋さんが債権者の場合とで、これといった取り扱いの違いは有りません。


 しかしながら、携帯電話の世界だけはドコモauソフトバンクに対して裁判所が特別の地位を与えており、ドコモauソフトバンクは分割払いした顧客のスマートフォンを赤ロムにしても許されるが、ビッグローブやイオンなどのMVNO事業者にはそもそも赤ロム化する権限すら与えられず、せいぜい未払者情報ネットワークに加盟してババ抜きのババを抜かないように用心するくらいしか術がないという、不平等かつ不自由な営業をいまだに強いられ続けています。



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 政府はシムロックフリー化と端末と料金の完全分離を主張しておりますが、この方針にも逆方向に作用しているのは言うまでも有りません。


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 いま私の手元にあるドコモの端末をネットワーク制限確認サイトで確認してみた結果がこのスクリーンショットとなるわけですが、判定を「○」としながらも、「今後不正契約が判明した場合や携帯電話購入に関わる初期登録内容に変更が生じた場合などを除きます」などと、全く要点を得ない注釈をつけて、所有者の財産権を不当に貶めています。


 所有者が盗難被害に遭った場合や当該端末が犯罪に関与している場合などの携帯電話不正利用防止法に抵触する事象が生じた場合に制限を加える云々というのであれば万人が納得できる除外理由と言えるでしょうが、ここでドコモがあえて付け加えている除外理由はそうではありません。

 
 結局の所、裁判所がドコモauソフトバンクの3社に対して与えてしまった事実上の優越的地位をこのように仄めかして、消費者の権利を脅かしているに過ぎないわけです。



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 世の中の関心は全く無いに等しいこの問題ですが、されとて、このまま放置しておいて本当に良いのか?と、私は強い疑問を持っています。


 なぜなら、携帯電話キャリアは国の根幹を左右しかねない、超重要な公共インフラだからです。


 アメリカのトランプ大統領がファーウェイを目の敵にするのも、携帯電話のネットワークがそれくらいセンシティブなものであるという証左とも言えるわけです。


 現状を肯定するための法整備をするのか、それとも新たな訴訟を起こして判例変更を求めていくのか、どちらでも構いませんが、法的根拠も無い優越的地位がそのまま野放しになっている事態だけは避けるべきではないかと、私は申し上げる次第であります。




携帯電話が突然使えなくなる!?―「 赤ロム問題」の法的構成と解決に向けて ―
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携帯電話の「おもちゃ」としての側面が3R に及ぼす影響
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