モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

どうすれば格安SIM(MVNO)が売れるのか

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 私は現在モバイルを3回線契約しており、メインがbiglobeau回線でサブがOCNのドコモ回線、それにデータ通信専用で民泊Wi-Fiと呼ばれる事もあるソフトバンク回線という構成にしております。


 一番初めにMVNOを契約したのは2012年で、biglobeGoogleのNexus7とセットで販売したのを面白そうだと思ったのがキッカケで、当時は3G回線の使い放題で一ヶ月3000円ほどだったと記憶しております。

 その頃はデータ通信専用のものしかありませんでしたが、後に各社から音声回線もついた、要するにフルパッケージのものが売り出されるようになってから、メインに使っていたauを→mineo→biglobeという風に転々とさせつつ、今日に至っております。



 こういう具合にいくつか使ってみた感想としましては、「なんでこんな素晴らしいのに相変わらずシェアが1割にも満たないんだろう?」という疑問混じりの、使って良かったという前向きなものばかりであります。



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k-tai.watch.impress.co.jp



 ケータイWatchさんの記事によれば、昨年度末におけるUQモバイルも含めたMVNOの市場シェアは携帯電話全回線のうち8.2%に過ぎないのだそうです。


 また、さらに今年度中にUQMVNO扱いから外れる都合上、このシェアは今年度末でダウンする見通しであるとも言われ、私には全く理解しかねる、そういった状況下にあるのであります。


 世の中が好景気に沸いて携帯料金なんて何万でも払ったるわい!的なムードに満ち満ちているならばともかく、それとは正反対に世帯年収が減少の一途を辿り、さらに今年は新型コロナでもっと酷い状況になるのが明らかな中で、どうしてMVNOより倍以上の料金がかかるMNOを使い続けるのか、その消費者心理を紐解きながら、MVNO各社の今後の取るべき進路を考えるという方向性の元に書いてまいりたいと思います。



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 実は弊社も一時期MVNOの販売代理店をしていた経験がありまして、その際に商店街で「うまい棒」にチラシを付けて商店街で通行客の皆様にお配りしながら、皆様のご意見を伺い続けた経験を有しております。


 そういった中で、MNOを使い続ける人々にも色々な傾向があって、大きく分ければ、「安いのはわかるのでいつかは替えようと思ってる」と様子見ムードな方と、「よくわからないから嫌だ」と拒否の構えを持つ方で分類出来ると感じました。


 このうち後者を説き伏せて顧客に取り込むのは時間もコストもかかるので当面は見合わせるべきで、問題は前者の、何かしらのキッカケがあれば動きそうな方々を、現在のMVNO各社が充分攻めきれていないのでは?と、私は考えています。


 この微妙な所にいる方々に、ほんのちょっと肩を押す。それが今まさに必要な時ではないでしょうか。



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 MVNO各社がMNOと比べて致命的に不足しているのが販路であります。


 各社とも自社のホームページやアフィリエイト広告などで誘客に務めておられますが、それによって得られた成果が8.2%の市場シェアなのでありまして、つまりネット上で誘客する限界に、既に到達していると見るべきであります。

 よって今後は、あくまで財務面で無理を生じない程度にリアルの販路を作っていくべきであります。


 さてでは、どのような所に販路を求めていくべきなのでしょうか。


 そこで特に留意するべきなのが、MVNOはコストが強みであるという事に尽きます。


 高機能さをウリにするとか、アフターサービスの良さをウリにするとか、そういった付加価値を売ろうと考えてはなりません。
 そこはMNOには到底及びませんし、そういったものを求める消費者の歓心を引こうとするのは間違いです。


 そして、だとすれば、ひたすらコストの優位性ばかりを強調する業態、街のスーパーマーケットに販路を見出していくべきなのです。


 安さだけを求める消費者が日々やってくる街のスーパーの一角に2畳とか3畳ほどのテナントを借りて、そこで毎日「MNOの半分の料金で使える」「運転免許とクレカを持ってくるだけで、あとは全部うちで手続完了のお手軽さ!」とアピールし続ければ、毎日数千人の来客の心にそのアピールを植え付ける事が出来るというものなのであります。


 MVNOが自前でテナント料を払ってスタッフを抱えてショップを切り盛りするのは大変ですから、ある程度フレームを作って、そのフレームに収まりたい代理店を募集して、あとはおおむね丸投げをしていけば良いのではないでしょうか。


 そうする事でむやみに広告を打つよりもハッキリと効果の見える施策を打ちやすくなるのではないでしょうか。



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 初期の頃のMVNOはSIMだけを売る欧米のキャリアのような方向性を目指そうとする向きがありましたが、日本の消費者は回線と端末がセットで動くものだという先入観を強く持ち続けている傾向が見えるため、今ではMVNOであっても回線と端末をセットで売るのがスタンダードとなりました。

 この考え方は現実に即しており、正しいと感じます。


 ただし、やみくもに端末のラインナップを拡充しているように見えなくもない為、今後はもう少し日本の市場性に即した端末のラインナップを考えていくべきであります。


 ではその日本の市場性に即した端末のラインナップとは何か?という事ですが、現状においてはiPhoneとシャープを2トップに掲げ、あとは数種類を賑やかし程度に脇に添えておくだけで充分だと考えます。


 なぜiPhoneを置く必要があるのかは今更説明無用かと思われます。シャープについては、いまでもシャープが日本の会社だと思われている方が多く、「安心の日本製」のイメージで売れるという面と、性能的にも昨今の評判が非常に安定している事から、この2つをメインに据えておくと良いのです。

 それこそドコモの携帯が一番売れていた頃にNとPがメインで、DやFやSOが添え物扱いされていたのと同じような構造とでも言いましょうか。変にバリエーションを増やしすぎるのも良くないというのは、20年前も今も状況としてそれほど変わっておりません。


 そうやって街のスーパーで財布の紐を左右する権限を有している来客の皆々様方にわかりやすく、そして毎日アピールする場を設けていく必要を訴えてまいりたいと思います。




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 世の中はデジタル化が進んでいるように見えて、実のところはそこまででもなく、アナログな部分も少なく有りません。


 そのアナログな実情がMVNO各社はいまいち掴めて居ないのではなかろうかと私は懸念いたしております。


 MVNOはMNOと違って販売促進に充てられる予算がはるかに少ないというのは至極当然でありまして、その少ない予算をどのように工夫して効果や成果を出していくのか、考え抜いて壁を乗り越えてもらいたいと願っておりますし、微力ではありますが、私の知見を出して、皆様のお役にも立てていきたいという風に考えている所であります。
 

 


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