モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

もうNTTにユニバーサルサービス料を支払う必要は無くなったのではないか

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www.itmedia.co.jp



 NTT持株会社の100%子会社となったドコモが非常に安い料金サービスを始める事になりました。


 総理大臣や総務大臣から「儲け過ぎだ!」とどやしつけられ、「確かに儲け過ぎておりました!」と認め、儲け過ぎないサービスを始めるに至ったのです。



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 だとすれば、日本全国で携帯電話やIP電話を利用している人々から事実上強制的に徴収しているユニバーサルサービス料(1回線につき2円/月)を支払う理由が失われたのではないでしょうか?というのが私の問題提起です。


www.soumu.go.jp



 所轄官庁である総務省のホームページにはこのように記してあります。

ユニバーサルサービス制度>

 従前、ユニバーサルサービスは、NTT東西において、採算地域から不採算地域に地域間の補填を行うことにより、その提供が確保されてきました。ところが、競争事業者の参入により、都市部等の採算地域を中心に競争が進展し、NTT東西の自助努力だけでは、ユニバーサルサービスの提供を維持することが困難になり、不採算地域においては、利用者の利便性を確保できないおそれが生じました。

 そこで、ユニバーサルサービスの提供の確保に必要なコストの一部(高コスト地域における提供コスト)を、NTT東西以外の事業者も負担する『ユニバーサルサービス制度』が2002年度に創設され、2006年度から稼動しています。具体的には、NTT東西に接続する接続電気通信事業者等(負担事業者)が負担金を拠出し、負担の徴収・交付金の交付等を業務とする基礎的電気通信役務支援機関(支援機関)を通じて、NTT東西に交付金として交付するしくみです


「NTT東西の自助努力だけでは、ユニバーサルサービスの提供を維持することが困難になり」


 自助努力だけでは困難。要するにお金がないから皆さんもお金を出してくださいと、総務省が仰っているわけですが、この問題が儲け過ぎと公私に渡って認められたドコモを吸収した事によって解消されたと言えるのではないでしょうか。


 私は思うのです。


www.softbank.jp



 1回線月2円ですから、個々人のレベルで言えば些細な数字かもしれません。ですが、2020年9月末の時点でソフトバンクモバイルだけで44,307,400回線ですから、毎月ソフトバンクからNTTに対して88,614,800円、8800万円以上、これにIP電話などのその他回線の分も上積みして、敵に塩を送っているわけです。


 上杉謙信武田信玄に塩を贈ったのは武田信玄がピンチだったから緊急的に贈ったに過ぎず、儲け過ぎて大幅値下げする余地のあるリッチな状態の武田信玄に塩を贈るような、そんな馬鹿な話はあるか!と、上杉謙信武田信玄両名連名で抗議文書が送りつけられても致し方ないとも言えるのではないでしょうか。



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 私には一つ引っ掛かっている事があります。


 NTTの株式は日本政府が34%保有しています。我が国の基幹インフラですから株を保有し続ける理由付けとしては正しいと私も思うわけですが、さらにこれに加えて日本銀行がおよそ7%、厚生年金と国民年金の運用を行う独立行政法人GPIFが7%、それぞれ保有しており、要するにNTTという会社は国や国に準じる機関によって判明しているだけで既に48%、支配された組織なのであります。

 日銀は今後も国内株式を買い進める方針ですから保有比率はますます上昇して過半数に達するのも時間の問題とも言えるわけでして、そのような組織が圧倒的に安い料金を打ち出すというのは、「民業圧迫」の最たるものではないかと、私は強く懸念する所であります。



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 この度のドコモの新施策によって携帯4キャリアの利益が大きく削られる事は間違い有りません。

 
 利益を大きく削られて薄利となった国内キャリアは、当然その分、未来に向けた研究開発費を抑制せざるを得ず、「GAFAに対抗!」する余力なども全く失われるに違い有りません。


 これはかつて、基地局を始めとしたインフラメーカーが歩んできた道と重なります。

k-tai.watch.impress.co.jp



 3Gの時代はパナソニック、NEC、富士通、日立といった日本企業が圧倒的な強さを誇っていましたが、第一次安倍政権の時に進められた携帯電話の値段を高くする規制によって携帯電話の売上が急激に落ち込んだ結果、研究開発する余力を失ったこれらの企業が海外メーカーとの競争に太刀打ち出来なくなり、今ではNECと富士通が辛うじて生き残っているという体たらくを招来したのであります。


 それなのに、同じ政治家が同じ過ちを繰り返して、我が国の科学技術競争力をますます失っていくという悲しい思いを繰り返さなければならないわけですから、もう言葉もありません。



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 ユニバーサル料金の話から大きく逸れましたが、今回の件は我が国の科学技術全般に大きな禍根を残す、非常に残念なものであるという事を付け加えて、お訴えしたいと思います。



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