モックセンター のブログ

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日本のMVNOに未来は無いと思います。早く店じまいした方が良いでしょう。

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www.itmedia.co.jp



 こちらの記事を読みました。


 その感想としては、なんとか政府批判を避けつつ、風前の灯火の感がある日本のMVNOについて九死に一生を得る方法を考えてあげようという涙ぐましいものでありました。

 記者さん達がステークホルダーの顔色を伺って玉虫色の記事しか書けないというのは政治もスポーツも経済も、似たようなものがあるのでしょうか。


 それにしても、この部分にはあきれて物が言えません。

 北氏も「ahamoの値段設定がポイントだった。ちょっとびっくりした」と語り、当時の状況を説明した。

 「当時、内外価格差調整で、ドコモ以外の5カ国の平均値がほぼ5000円だった。(ドコモの値下げする料金が)5000円より下という話は漏れ聞こえていて、4980円か、行っても3980円かと思っていた。それが20GBで、ショップが使えないとはいえ、まさかの2980円。私や当局が想像していたよりも下がった。恐らく菅前総理も想像していなかったと思う。攻撃的な料金が出てきた」(北氏)

 メディアの記事でも「ahamoショック」という言葉がよく使われた。他社も料金値下げで追随せざるを得ない状況になった2021年だった。


 北俊一氏は菅義偉前総理の政策ブレーンだった方で、菅前総理が目玉として掲げた携帯料金政策に関して相当に深く入り込んでいる当事者だったからです。

 それがこの対談ではまるで何も知らない部外者のような、非常に白々しい態度を取っているわけです。


 ahamoの料金設定が楽天モバイルの料金プラン、楽天モバイル損益分岐点(2980円のプランで700万回線)に寄せて設定してきているのは明らかであります。


※ 参考
www.itmedia.co.jp



 これはかつてイーモバイルの勢いを削ぐために既存3キャリアが一斉に基本料金を980円に合わせて、イーモバイルを親会社諸共締め上げた時と同じやり口であります。


 株式市場もそれで楽天が苦境に立たされたと判断して格付けを大きく下げたのです。

www.sankei.com

 長年携帯電話業界に携わってきた北氏が過去のそういった出来事を知らない筈もなく、今回は自身が菅前総理の政策ブレーンとしてそういった事柄に関与している以上、他人事として逃げるのは許されないことだと私は考えます。



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 MVNOの問題に立ち返って考えてみますと、第二次安倍政権がアベノミクス三本目の矢「大胆な規制緩和」として打ち出したうちの一つが携帯電話市場で、安倍政権が率先垂範でMVNOの公平な競争環境を構築するからどうぞご参入下さいと多くの民間企業に促してきた経緯があります。


 しかしながら、各社が安倍元総理の政策を信じて大船に乗ったつもりで参入を果たしたと思ったら、今度は後継政権の菅政権から一斉に砲撃を浴びて今やブクブクと沈没しそうになっているというのですから、大枚を叩いて参入してきた民間企業はたまったものではありません。


 ただでさえコロナ禍で「ホテルを増やせ!民泊も増やせ!」政策が裏目に出て苦しんでいる企業がたくさん出ている中で、またしても「国策に乗ったせいで損をした」事例を作り出してしまえば、では一体誰がこれから政府を信じて設備投資をしようと言うのでしょうか。


 これ以上政府に乱暴な真似をさせないように、政策の矛盾を厳しく指摘する必要があるように思います。


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 経営環境の悪化に苦しむMVNOに逆転の一手はあるのでしょうか。


 本来MVNOはコストパフォーマンスを売りに顧客を増やすビジネスモデルだと思うのですが、しかし今やMNOやサブブランドと有意な差をつけるのは不可能であります。


 ですから、それでもなんとか生き延びようとするのであれば、コストパフォーマンスとは逆の発想で、どんどん対人サービスがチープになるMNOとは違う、リアル店舗に充実したアフターサービスを約束したものを生み出していく他無いように思われます。

 例えば年配の方向けに特化したサービスや、かつてノキアが挑戦した「Vertu」のようなエクセレントなサービスなどで、高付加価値を追求していく事が求められます。


 NTTにしてもソフトバンクにしても、そもそもそういった高付加価値型のサービスを成功させた試しがありませんので、彼ら彼女らがノウハウを持たないそういった所で競争力を見出していく事は有意義です。


 しかしながら、それほど大きなパイが見込めるとも思えませんので、総論としてはMVNO各社はなるべく早く撤退を決めて、傷を深くしない努力を進めていくのが無難でありましょう。



 それにしても、携帯電話を生業にするのがこんなにも難しいとは、私にも想像出来ませんでした。


 MVNOに参入した企業各位におかれましては、誠に気の毒であると、同情の念を禁じえません。


 



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