その昔、日本の携帯電話業界の一部の界隈において、ギャル向けの携帯電話を作って人気を獲得しようと目論んだ携帯キャリアと携帯メーカーがおりました。
ギャルがトレンドを作り、それがやがて一般の人々にも浸透していくといった物事の流れがありましたので、その流れに乗れれば自分の会社も人気や売上増を狙えると目論んだようでありました。
本日はそれらの屍、いや失敗事例のほんの一部を振り返ってみたいと思います。
■
最もギャル向けに力を注いだ空気の読めない会社が、ツーカーセルラーであります。
プラチナバンドを持たず、ギャルに絶大な人気を博したNEC端末も無しに、一体どうしたら自分たちの会社がギャルに気に入ってもらえると思ったのか、全く戦略ミスも甚だしかったわけですが、とにかく彼らは派手な色の端末を作り、イメージキャラクターの浜崎あゆみさんに大枚をはたき続けました。
そして2005年、わずか10年の短い生涯に幕を閉じました。
■
ツーカーセルラーほどではありませんでしたが、富士通もかなりこの分野に入れあげて傷を広げた会社の一つであります。
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
hodogaya-mock.ocnk.net
これらの商品が売れたとか話題を呼んだとか前向きな話を耳にしたことは一切ありませんが、それでも富士通はめげずに作り続けました。
惜しむらくは、富士通の社風として、女性の声を上手に取り込んでいくといった会社ではなく、また、アパレルブランドとコラボするにしても、塗装とかプリインストールした着メロといったごくごく表層的な所にしかコラボの意義を浸透させなかった所でありまして、そのあたりの浅はかさが、かえって痛々しく見えてしまったという所でしょうか。
「若い人との接点が乏しいおじさん達が考えたギャル向けケータイ」だったのだろうと思います。
■
その他で思いつく所としては
フェイクレザーで作った筐体が特徴的なP253is(パナソニック)や
着せ替えパネルを全面に打ち出し、さらに筐体がキラキラ光る830T(東芝)などもありました。
この頃の東芝は富士通のらくらくホンをパク、いや模倣した製品を作って訴訟沙汰になっておりましたけれども、そういえばこの商品もソニーのアレを模倣したように思えなくもありません。
ウィルコムはDDIポケット名義だった頃に10円メールで若者ウケに成功した経験があり、ウィルコム名義になってからもウィルコム同士なら通話し放題というサービスで再び若者ウケに成功した、いわば中身で勝負してきた会社でありまして、その上でさらに外見でも勝負できれば1000万ユーザー獲得も夢ではなかったように思うのですが、そのあたりはDDI系列特有の詰めの甘さが祟っているという感じがしたものであります。
■
この中で名前が出てこなかったのがauであります。
auは過剰なギャル向け端末を作らず、深澤直人さんを始めとした本物の工業デザイナーとしっかり膝詰めでモノづくりに打ち込む姿勢が、それなりに評価されて然るべきだと思います。
auがデザインで世間の評価を受けてユーザー数を増やす事に成功したのを見た他社が、これに続けとばかりに「おしゃれっぽい」とか「ギャル向け」みたいな表層的な所だけを追いかけてしまったのだろうと思います。
今はもう端末と回線の分離が政府方針となって、こういったチャレンジングなものは望むべくもありませんが、過去にこういった事があったと知って頂ければ幸いです。
.