モックセンター のブログ

携帯電話スマートフォンのモックアップを販売しているモックセンターの中の人のブログです。中の人はTVチャンピオンケータイ通選手権の出場者でもあります。最低週に1度は更新したいと思います。弊社の業務に関するお問合わせは弊社ホームページのお問い合わせフォームや電話窓口にお寄せ下さい。

iPhone、iPadの純正(公式)モックアップはありません

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 新しいiPhoneが発売されました。

 ここ4~5年くらいの傾向として、新しいiPhoneの記者発表会が行われる数日前から実際の発売日を少し過ぎる頃まで、なぜか弊社の売上が大幅に落ち込むという事が繰り返されています。
 
 スマホカバー等を製造販売される企業様のように常に新しいスマートフォンの情報に気を配っておられる方々であればそのようになられるのも充分理解できるものの、なぜか新しい商品だけでなく、10~20年くらい前のモデルをお求めになる企業様からの注文も鳴り止むという状況が続いておりまして、そのせいで弊社ではここしばらく涙をこぼしながらお茶をひく日々を送っております。

 iPhoneが憎い!Appleが憎い!

 と、思わず爆発してしまいそうになりながら、その余剰エネルギーを畑を耕す力に変換する毎日を送っております。

 もうそろそろ、この買い控えムードも収まってくれると良いのですが・・・



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 さて、弊社を日頃ご愛顧下さっているお客様の間ではようやく認識されるようになったものの、一般的には依然としてあまり知られていない知識の一つとして、iPhoneiPadなどのアップル製品にはメーカー純正のモックアップが存在しない、作っていないという点が挙げられます。


 アップルはスティーブ・ジョブズさんがご存命の頃から企業の方針としてモックアップを作っておらず、その代わりになるべく店頭に実機(ホットモック)を展示するスタイルを取っています。
 
 これは厳密に言えば公取委案件になるような話ですけれども、アップルは携帯電話販売店に対してアップル専用の展示コーナーを設けるように、キャリアを通じて求めています。

 かつてドコモもこれと同じ事をやっていて、家電量販店の携帯電話コーナーにおいて「ドコモだけ特別に独立したドコモコーナーを設けよ」という強い要求を行っていて、これがその後大人の世界で何事か蠢いた後にそういう要求がいつの間にか無かった事になったのでありますが、アップルの方は今の所お咎めのような動きは起きていないようで、依然としてほとんどのお店で専用コーナーが設けられ、そこに実機を展示している、というわけです。



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 しかしながら、携帯屋さんは店頭にモックをなるべくたくさん並べてお客様の視線を集めたいというのが特に中国方面で強いようでして、ですからそういったニーズに向けて、何事にも迅速に商品を作ってしまう中国の会社さんがどこで調べたのか金型データをうまく用意して、なかなか精巧な非公式モックを作って売るようになったのであります。

 日本で出回っているiPhoneのモックも、全てがそういった由来を持つ中国製の非公式モックであります。

 これはiPhoneの最初期の頃から既に始まった動きで、始めの頃はお世辞にも褒められないクオリティのものばかりだったのですが、その後は日進月歩でクオリティを高めていき、ここ2~3年は本当によくここまで精巧なものをこのコストで作れるものだと感心するくらいになりました。


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 しかし、いくら技術が向上して精巧なモックを作れるようになったとはいえ、モックの売値が10元とか20元とかという世界ですので、本物のiPhoneの筐体と同じ材質を使うとか、削り出し加工をするといったものは土台無理なのであります。

 さあそこで問題となるのが、日頃メーカー純正のモックに見慣れている弊社のお客様方であります。

 メーカー純正のモックは基本的に本物とほぼ同じ金型で同じ材質(液晶以外)で筐体を作りますからクオリティや寸法は本物とほぼ同じであるのに対し、iPhoneのそれは非公式でチープになるのはやむを得ません。
 しかしそういった事情をご存知でないお客様からは、非常に厳しいお声を頂く事もしばしばです。

 価格の面でも、基本的に販促資材なのでメーカーから販売店へ無償提供される性質の純正モックと比べ、最初から売り物としてこの世に生を受け、なおかつ輸入するのに相応のコストも必要となるiPhoneのモックの方が高値になるのは自明であります。


 こうして品質は他メーカーの純正のものと比べて劣るのに値段が高いのがiPhoneのモックという、その中間にある事情を知らない人にとって見れば不満でしか無い代物が出来上がってくる、というわけです。


 今は弊社では輸入販売するのを止めましたので時折ツイッターなどで流れてくる人様の風評みたいなものを第三者的に目を通すだけとなりましたが、やはりまだまだそういった事情をご存じない方の不満のようなものが少なからず存在しているのだなぁと感じる次第であります。


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 新しいiPhoneの売れ行きは果たしていかがなものでしょうか。

 来月には総務省肝煎りの新制度がスタートするのに加えて消費税増税も始まりますので、その前に駆け込み特需なんかがあれば良いなと目論んでいる販売店様も少なくないと思いますが、携帯電話業界の命運が左右される重要なここ数ヶ月、固唾を飲んで見守りたいと思います。




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