ホームセンター業界2位のDCMホールディングス傘下にある「くろがねや」というホームセンターが店名を「DCM」に改めました。
DCMホールディングスにはケーヨーデイツーやホーマックなどのお店もありますが、そちらも順次DCMという店名に切り替えていくのだそうです。
バラバラで運営するより統一したほうが消費者に覚えてもらいやすいでしょうから、その事自体は真っ当な判断だと感じるのですが、ただし「DCM」というアルファベット3文字の店名は如何なものか?と懐疑的に見ております。
世の中を見渡してみますと、アルファベット3文字の固有名詞で溢れております。
老舗どころで抜群のブランド力を誇るBMWのような事例もあれば、来月開幕するWBCのように、野球とボクシングで固有名詞が被ってしまっているものもあります。
私が日常的に目にするアルファベット3文字の固有名詞ではUTYやYBSなどがありますが、これは私が山梨県民だから知っているだけであって、他地域にお住まいの方にはさっぱり知られていない山梨ローカルのテレビ局の一般名称(UTY=テレビ山梨、YBS=山梨放送)であります。
テレビ局というのはキー局でもローカル局でもアルファベット3文字の名称を使いがちですが、それゆえ自分に縁のない地域のテレビ局の名称は知らない事の方が普通であります。名称を言われてもどこの都道府県のテレビ局なのかさえピンと来ない、いささか寂しい状況です。
そういった中で異彩を放つのが岩手めんこいテレビでして、岩手めんこいテレビの番組を見た事が無い人でも岩手めんこいテレビを知っている人は相当数に上るのではないでしょうか。
UTYやYBSは日本人の9割は知らないでしょうけど、富士急ハイランドや桔梗屋は日本人の半分くらいは知っている人がいると思います。
テレビという目立ってナンボの商売が埋没しやすい名前を名乗っているというのは、私は愚かしい事ではないかと考えます。
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最近の在京キー局のテレビコマーシャルには企業の知名度を高めようとするものが目立つ気が致します。
例えば広瀬すずさん出演のAGCや、濱田岳さん出演のDNPなどのコンシューマ向けでは無い、けれども超大企業があえてわざわざ大枚をはたいてコマーシャルを流す理由は、超大企業の割に知名度がいまいち不十分だからだろうと思います。
コンシューマ向けの製品があまり無いのに知名度を必要とする理由として想像されるのは、採用活動で不利に働くからではないでしょうか。
新卒採用を行う上でたくさん応募して欲しいから、そのために知ってもらう必要があるというわけです。
それなのになぜ覚えにくい名前を名乗っているのか、そこがわかりません。
AGCにせよDNPにせよ、このアルファベット3文字を名乗るようになったのは比較的最近で、元は旭硝子(AGC)大日本印刷(DNP)であります。割と最近になってわざわざ覚えにくい名前に変えてしまったのだから、ますます意味不明です。
航空会社のように運行上の理由でアルファベット3文字で名乗る必要がある会社ならともかく、です。
ちなみにプロ野球の読売ジャイアンツが「ジャイアンツ」と名乗るようになった理由は、戦前の「大東京野球倶楽部」としてアメリカ遠征をしていた時にアメリカ側から「呼びにくい」とクレームがつき、それで急遽決めたという経緯によるものです。
ですから大東京野球倶楽部のような、ある種のグローバル化を目的とした名称変更をするならば、東京通信工業がソニーへ変更したり松下電工がパナソニックに変更したりしたようなニックネーム型の方が良かったのではないかと思います。
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知ってもらう事、覚えてもらう事はとても難しいです。
ホームセンターが好きでDCMグループのマイボ会員カードの会員ランクが最上級の8倍に到達している私としては、DCMグループの今後ますますのご活躍を強く願っているわけでありまして、ですからあのいまいち記憶に残りにくい名前と看板のデザインに苦言を呈したく存じます。
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