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我らが山梨県をはじめ全国各地の果樹栽培地域で猛烈に増産し続けてきたブドウの高級品種「シャインマスカット」ですが、あまりにも供給量が増え過ぎてあちこちで悲鳴が聞こえてくるようになりました。
シャインバブル終了の兆し
— 中山さん家のぶどう園_official (@Naka0Yama2G1F1) 2023年8月22日
ウチの1番の出荷先からシャインマスカットが市場に溢れているためシャインマスカットの出荷制限と増産禁止の連絡が入った。
需要と供給のバランスが崩壊しはじめたとの事です。 pic.twitter.com/n63XwawsLl
シャインの相場や昨対より安いですがそれでも動きは悪いです。
— 市場人 果物担当 (@Fruits_ichiba) 2023年8月18日
弊社が山梨県へ移転した2018年頃だとスーパーマーケットで1房2000円ほどで売られていたものが昨年あたりは1房1200円程度で売られる場合も出てきていて、既に危険水域に達している予感はありましたが、いよいよXデーが近付いてきたという感じが致しております。
そもそも、いくら高級品種とはいえ、増産すればするだけ希少性が薄れて市場価格が低下するのは当然想定出来た筈だと私は思うのですが、別の作物から転作する農家さんが相次いだり新規就農者をどんどん呼び込んで増やしたり、さらには他県にも栽培法を出張してまで伝授して生産者を増やしに増やし続ける有様でありました。
私も山梨県甲州市という特にブドウ栽培の盛んな地域で畑を借りて農業に進出をはかったうちの1人ですが、このような事態を招くのは容易に想像できたので果樹栽培には一切目もくれず、植木の道をひた走る判断を致しました。
そういった判断をした私に対して周囲の農家さんからも役所の方からも、とにかくブドウをやれと頻繁にブドウ農家へ転じるよう何度も何度も言われたものですが、本当にあの時断っておいて良かったと胸をなでおろしています。
かつて我が国ではコメを作り過ぎて減反しなければならなくなった事がありました。小学校の教科書にも載るくらいとても大きな出来事ですから知っている人も多い筈ですが、そこから何の教訓も得られていない現状は非常に歯痒く感じます。
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こういった新規就農したばかりでマネタイズに至っていない農家さんを、今後どのように支援していくのかが問題になると思います。
県や市が自ら多額の予算とリソースを割いて、散々甘い言葉で呼び込んでおいて、いざバブルが弾けたらハシゴを外してにっちもさっちもいかなくなった新規就農者を見捨てるような事があってはならないと思います。
それこそ戦前戦後の満蒙開拓団みたいな悲劇を戦時中でもないのに繰り返してはなりません。
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テレビ山梨のニュースによれば昨年度に山梨県内で自営により新規就農した人が192人だそうです。これら全てがブドウ栽培では無いでしょうが、かなり高い割合なのは間違いありません。
そして、ブドウ栽培を始めてから充分な収益が得られるようになるまでの期間は5年近くかかると聞きますので、過去5年でのべ500~700人か、それを超えるくらいの人数の新規就農者が大なり小なり借金を抱えて路頭に迷う可能性があると推定出来ます。
ブドウに限りませんが、果樹栽培は畑の土の状態が良好で手を加える必要がないレベルだとしても苗木購入や物置の建設や葡萄棚の設置、その他資機材の購入で少なく見積もっても500万円の初期投資は避けられません。
それらを自己資金で全て賄えた人は手持ち資金を失うものの、何かしらの形でリスタートを図ることが出来るでしょう。しかし殆どの場合、結構な額を農協や市中銀行から借り入れている人です。
ブドウの収益が得られるまでの数年間の生活費だって相当に費やしてこられたわけです。
そういった、これらから厳しい状況に陥るのが予想される方々を救済する手立てを早いうちから打っておく必要があるように思います。
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たぶんこれからシャインマスカットバブル崩壊が普通の人の耳にも入るくらい、いろんな形で表出してくると思います。
そしてその後、まずは行政が「問題は起きていない」といった態度で問題を見て見ぬふりをするか、もしくは先送りしようと目論むでしょう。
新規就農を止めもせず、何も知らずにやってくる新規就農者をさらに呼び寄せて、より事態を悪化させるかもしれません。
時間が経つに連れてより傷が深くなり、新規就農者だけでなく既存の農家さんまでもが価格下落のあおりを受けて苦しむようになって、いよいよ重い腰を上げざるを得ない状況に追い込まれます。
山梨県の場合で言えば、シャインマスカットから新しい品種である甲斐ベリー7への転作を促して事態打開を図ろうとするかもしれません。
しかしながら、新品種に転作したからといってブドウ消費のパイが増えるわけでは無いので、結局シャインマスカットと客の奪い合いをする事に変わりなく、農家さんを一層疲弊させ、離農したり破産したりする人が増えて、若い人は仕事を求めて今まで以上に都市部へ流出する度合いを高めると思われます。
やがて、かつてシャインマスカットを育てていた農地は耕作放棄地となって荒れ果てる一方となり、美観を損ねるだけでなく病害虫の発生源となって、まだ踏ん張っている既存の農家さんをますます苦しめる事となります。
早く動かなければ、みんなが不幸になってしまうと思います。
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この際、山梨県を始めたとした果樹栽培の盛んな地域において減反政策を取るべきだと考えます。
農地を集約して、農業を続けたい方にはしっかりと充分な農地と収益性を確保し、むやみに新規就農させないようにするべきです。
山梨について言えば、減反によってある程度のまとまった土地を確保して、工業団地とするべきです。
山梨県は水源が豊かであり、自然災害が少なく、降雨量が少ないことから日照時間が極めて長く太陽光発電を効率的に行なえ、国立山梨大学を核として水素の研究が非常に進んでいるという強みがあります。
これらの強みはこれからの時代に特に重要な要素である、自然に優しくサステイナブルな工業団地を運営するのに適していますから、この強みを世界の工場として活かすべきです。
さらに言えば、現在建設が進められている中央リニアも、これらの計画に大きく寄与する筈です。静岡工区の関係で甲府~名古屋間の開通が遅れたとしても、品川~甲府だけ部分開業させる理由、動機にもなりうると思います。
そして、これらの事業を推進していく為に欠かせない人材として、借金を抱えて困っている新規就農者の皆さんに働いてもらったり、その過程で抱えている債務を帳消しにしたりする措置を講じられるのではないでしょうか。
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シャインマスカットバブルの崩壊が目前に迫っております。
もはや直視せざるを得ない所まで危機が及んでおります。
この危機的事態から目を背けず、早急に対策を講じて、災い転じて福となす、としたいものであります。
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