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ようやく入荷できた秋冬モデルを眺めながら、ふと、寂しくなったものだなぁと感じています。
例えば2019年のドコモの秋冬新モデルはテレビターミナルを合わせても8機種しかありません。
10年前の同じ時期に携帯電話だけで19機種もあって、それにデジタルフォトフレーム等もあったのですから、今より倍以上の種類のラインナップを投入していたわけです。
寂しく感じるのも無理もありません。
10年前も既にモック屋さんを営んでいた弊社ですが、当時は各キャリアとも毎シーズン10機種以上出してくるのが当然でしたので、捌くのがとても大変だったのが思い起こされます。
写真を撮るのも大変なので、1機種で3枚だけ撮ってはまた次の機種へと、随分手荒に扱っていたと反省したりもします。
それが今では各カラーバリエーション毎に写真を撮っても1時間とかからずに片付いてしまうのですから、随分楽になったものです。
写真のクオリティが酷いのは今も昔も変わらない弊社の欠点の一つですので、なんとか改善せねばなりませんが。
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携帯屋さんの数もめっきり少なくなりました。
ドコモauソフトバンク等の複数キャリアを扱う併売店は、2009年位の頃に弊社で把握していた店舗数が都内だけで120店以上あったのが、今では恐らく50店舗も無いだろうと思われます。
かつては新宿や横浜のような大きな繁華街の中に5店も10店もあってしのぎを削っていたものですが、今ではこのクラスの街でさえ1つあるかどうかという塩梅です。
2000年代の初頭くらいには既に「いずれ家電量販とキャリアショップしか生き残れなくなる」という声が業界内にあったのは事実ですが、いざ本当にそうなってみると、果たしてそれで良いのか?と、疑問に思わざるを得ません。
キャリアショップでは各キャリアが自社の良い所だけを強調した営業をやるのが当然で、家電量販店でもキャリアが派遣したヘルパー販売員がキャリアショップと同じような事を言うのが当然ですから、フラットな立場からお客様に提案する併売店のような販路が失われるのは、ユーザーフレンドリーでは無いと私は感じるのです。
こういう状況ですから、地域密着型で経営している個人経営的な併売店は、ほぼ絶滅してしまいました。
実は弊社とかなり永きに渡ってお付き合いくださっていた個人経営的な併売店の最後の1店が先日廃業してしまいました。
お客様のニーズに合わせて、無理な料金プランやオプション契約の強要を行わない非常に地道に経営されているお店でしたが、知識のない来客の足元を見るようにタブレットを契約させたり高額なSDカードを買わせるキャリアショップに負けてしまうというのは全く不条理であると、嘆かわしく思いました。
昔は自動車電話やハンディフォンを扱っていた個人経営的なお店がそこかしこにあって、知識が充分でない中高年のお客様の相談に地道に応えて営業される姿が当たり前のようにあったものでしたが、これからの時代は知識のない子羊のような人も例外なく、商業主義むき出しの荒野に放り出される時代が訪れるのでありましょうか。
シビアの一言で片付けて良いのでしょうか。考えなければならないと私は思いますが。
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このような事態になった理由の半分は消費者にありますので、なんでもかんでも国やキャリアのせいにするのは筋違いでしょうけれども、これから先、荒っぽくなる事が間違いない携帯電話の世界を、私達はどのように受け止め、行動するべきか。はたまた新ビジネスに結びつけて利益を得るか。色々考えさせられる近頃といった具合でありましょうか。
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