モックセンター のブログ

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携帯電話業界でおよそ10年に1度行われる一大イベント「巻き取り」が、これから本格化していきます

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 世代交代が済んで不要になった通信方式の電波を停止する事を携帯電話業界では「停波(ていは)」と呼びます。

 そして、この停波の時期を定めて公表し、その停波する予定の旧方式の携帯電話を使用しているユーザーに呼びかけて新しい通信方式の端末に機種変更してもらう事を携帯電話業界では「巻き取り」と呼んでいます。


 かつて、1999年に停波を完了させたNTTドコモ、KDDI陣営(旧IDO、DDIセルラー)両社の第一世代型携帯電話「HICAP」をはじめ、第二世代「PDC」ではソフトバンクが2010年、ドコモが2012年に停波を完了させております。


 つまりこのサイクルはおよそ10年周期くらいで緩やかに回転しているわけでありまして、その3回目のサイクルとして、「3G(W-CDMA)」と「PHS」の2つの巻取りがこれからいよいよ本格化していこうとしているのです。


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 今回はNTTドコモソフトバンクが「3G(W-CDMA)」の停波を目的とした巻き取りを、ワイモバイルが「PHS」の停波を目的とした巻き取りを、それぞれ実施します。


 私が今回の巻き取りに関して一つ懸念しているのが、1999年や2010年前後の頃と比べて現在は端末の継続使用期間が非常に長くなっているという点です。

 以前は毎年のように携帯電話の機能やデザインの大幅な刷新が行われており、それに加えて端末を安く売っておりました。ですから皆さん割と短期間、2年周期くらいで買い換えるのが当たり前になっておりました。ですから、古い端末を使い続けている人の割合は、さほど多くは無かったと言えます。

 しかし近年は機能にしてもデザインにしても小幅な刷新しか行われていない上に端末の値段が高止まり傾向にありますから、古い端末を何年も使い続けるのが当たり前となりました。


 かつては3年前の端末を持っていると周囲から「まだそんな古いケータイ使ってるの?」と嫌味の一つも言われたものでしたが、最近では、ガラケーガラホ)を使っている人を揶揄する風潮は多少あるものの、そこまでの圧を感じなくなっているのではないでしょうか。


 ですから、過去の事例と比べても、困難の度合いが高いのではなかろうかと懸念しているのであります。



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 特に統計やアンケートを取ったわけではありませんのであくまで私個人の印象としか申し上げられませんが、古い携帯電話を使い続けている方々の傾向としては、携帯ショップや家電量販店の携帯電話コーナーを久しく訪れておらず、テレビや新聞雑誌の広告類について全く目を通していないか、全く興味もなくスルーしている現状にあるのではないでしょうか。

 
 なぜなら、それらの情報や行動は自分にとって一切必要のないものだと考えているからです。


 そしてそれが仇となって、例え自分が使用している端末が停波に近付いていようと、そのアラートに一切気付いてくれない可能性があるように思います。


 ですから、巻き取りの最初期にテレビコマーシャルや新聞広告で告知するのはセオリーとして必要ではあるでしょうが、これだけでは相当な割合で取りこぼすのが間違いない、と私は考えております。



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 過去の事例から、携帯キャリアが今後どのように動くかをご説明しますと


STEP1:
停波予定端末を使用しているユーザーに向けたダイレクトメールを数通発送。巻き取り対象者限定の端末購入割引を提示。
 ↓
STEP2:
派遣スタッフによる軽量級の戸別訪問実施
 ↓
STEP3:
各キャリアのプロパー社員による中級、重量級の戸別訪問実施


 おおまかに言えばこういう流れになります。

 戸別訪問でどのようなやり取りが展開されるのかは各キャリアの業務を妨害する事に繋がりかねませんので書きませんが、色々と込み入った話になってくるという意味で捉えて頂ければ幸いです。



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 私に一つ提案があります。巻き取りをスムーズに進める為の新しい提案です。


 巻き取り対象になるまで古い端末を使い続けている方の中には、見ず知らずの人間においそれと心を開いてくれないタイプの方も少なくありません。
 まして最近は「○○詐欺」への警戒心から、ハードルがますます高くなっているのは間違いありません。

 ですから派遣スタッフやキャリアの社員が何度も足を運んで説得しなければならないわけですが、そうなる前に、巻取り対象者のご家族や知人友人に餌をぶら下げ、代わりにエージェントになってもらって、説得してもらってはどうでしょうか。


 見ず知らずのキャリア社員の話を聞いてもらうのは大変ですが、勝手知ったるご家族や知人友人の話であれば素直に耳を傾けてくれる可能性は大いにあります。「アンタの言う事なら信用して任せるよ!」と、話が進みやすいのは自明です。

 ですから、まずは「身近に巻取り対象端末のユーザーはいませんか?」という趣旨のセールスプロモーションを打ち、「もしも身近にそういった人が居て、見事に機種変更に応じさせたら報奨を贈呈します!」という餌をぶら下げて、話を進めてはどうでしょうか。


 どういう報奨を用意すれば良いのかは各キャリアで考えて頂くほかありませんが、過去の苦労をそのまま同じように繰り返すのでは学びがありませんので、新しくて合理的な新戦略を考えていく必要があるのではないでしょうか。


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 携帯電話販売代理店各位におかれましても、これは久方ぶりに訪れる、そこそこ稼げるイベントであります。

 なぜなら、キャリアは焦っているからです。


 対象端末の稼働台数を停波期日までに基準以下まで減らせなければ、停波は延期となり、本来停波するはずだったインフラの莫大な稼働コストを支払い続ける羽目になります。
 それでは困りますから、キャリアも多少の大盤振る舞いはこの際やむなし!の機運で事に及ぶ筈です。

 
 ですから弊社でも来週あたりから、携帯ショップで巻取り対象のユーザーを集める為のアシスト的なパッケージを準備して、ご用意していきたいと考えています。

 基本的にはキャリア別にパッケージを作り、キャリアショップで推していく為という方向で考えますが、状況を見て併売店向けに対象キャリアをまんべんなく混ぜたものなども検討したいと思います。


 世の中的には2020年の携帯電話業界は5Gという事でしょうが、実務レベルにおいては巻き取りの本格化こそが重要なのでありますと、そういう事を申し上げておきたいと思います。




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