モックセンター のブログ

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京セラの携帯電話から作り手の思い入れや愛情が伝わってこない

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 先月の頭にこういうニュースがありまして、それから2ヶ月近くに渡って京セラに関する色々な思い出や感想を思い浮かべて過ごしてまいりました。


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 京セラのスマホが売れているという話を過去に一度も聞いた試しがありませんでしたので、売上予測がそこまで大きく下振れるだけの余地があった事に驚きを感じました。


 TORQUEやガラホを持っている人は街で時々見掛けますから全く散々だったわけでは無いでしょうが、それにしてもよくここまでスマホ製造を続けてこられたものだという、ある種の感心のようなものも持ちました。


 西暦2000年から携帯電話販売の仕事をするようになった私としては、とにかくお客様のウケが著しく悪いメーカーの代表格として、マイナスの印象ばかり根深く残っているというのも、その感心のようなものに関係しているのだろうと思います。



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 一介の携帯電話販売員だった頃の私が京セラ端末に抱いていた印象は、今風に言えば「推せない」メーカーでありました。


 今でもそうだと思いますが、携帯電話販売員は会社やキャリアから「売って欲しい商品」という課題を課せられているものであります。

 その売って欲しい商品として頻繁に名前が挙がるのが京セラ製品でして、その理由はいたって単純に「売れてなくて在庫が溜まっているから」でありました。


 販売員としては、「そりゃー売れなくて当然ですよ」というのが当時の第一印象で、お客様にオススメ出来る要素がほとんど見当たらない上に、筐体は他社製品と較べて明らかにチープなプラスチック感が滲み出ていてお客様の拒否反応が強いものですから、これを推そうとすればせっかくの購買意欲を持っているお客様をみすみす取り逃すのが濃厚ですから、ですからとてもとても推せなかったのです。


 その販売員の声は、少なくとも京セラの営業担当レベルには確実に届いていた筈です。

 キャリアが販売員向けに行う新製品説明会では、販売員が直接メーカーの営業マンにお尋ねできる場が設けられております。

 そこでは熱量が高い販売員が京セラの営業マンに熱弁を振るう場面を何度目にしたか数え切れないほどありましたので、あれで「知らなかった」とはならない筈でありました。


 それでも京セラ製品は長年にわたりチープなプラスチック感を持ち続けていましたので、京セラは変われない会社なのだと私は思っておりました。


 これが他のメーカーならば、結構フレキシブルに製品作りに反映されておりましたので、その差は歴然でありました。


 私はかつて川崎市内に拠点を置く某有名メーカーの開発部門の方々と頻繁にやり取りしていた時期があったのですけれども、彼らの消費者の声を必死になって知ろうとする熱意の高さに非常に感動したものです。

 他メーカーやキャリア関係も含め、当時はみんな必死に頑張っていたものですから、だからこそなおさら京セラには冷めた感想しか湧いてこないものでした。




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 様々な日系メーカーが努力に努力を重ねても生き残れずに去っていった今。生き残った京セラには、ぜひとも果たして欲しい使命があると私は考えています。


 それは、これからも京セラが作り続けるであろうガラホについてです。


 今では物心がついた人間は全てスマホを持てと言わんばかりの世の中ですが、スマホよりもガラホの方が良いと思われる人は日本人の何割かは確実にいると考えています。


 例えば判断力の衰えたご高齢の方もそうですし、スマホを持つことでかえって事件被害を呼び込みやすくなる小学生、そして4年前に出版されて話題を呼んだ「ケーキの切れない非行少年たち」という本の中で指摘されるような、いわゆる軽度の知的障害のある方達についても、充分なサポートが無い中で1人でスマホを使用するデメリットが顕著だと私は考えます。

 そういった方達が誰憚ることなく安心してガラホを使える世の中にしなければなりません。


 日本人は何かにつけて少数派を小馬鹿にして物笑いにする風土が根強いです。

news.nifty.com


 広島カープ新井貴浩新監督がガラケーを愛用していると話せば寄ってたかって小馬鹿にするという一コマが公共の電波で垂れ流される有様です。

 これではガラホを使っている人が安心して使い続けられないではありませんか。


 今では日本でガラホを製造販売しているのが京セラ、FCNT、シャープの3社だけなのですから、言ってみれば自社製品の愛用者がそれを理由に寄ってたかって虐められているわけで、この有様を製造メーカーが傍観しているのはおかしい事であります。

 少し前に大臣が「脱ハンコ」を訴えたらハンコの製造メーカーが抗議文を携えて政治家のもとに陳情して回るという出来事がありましたが、製造元としてはそれくらい体を張って愛用者を守るようでなければ、それこそ製造者責任とか覚悟が足らないという事になるのではないでしょうか。



 利用者保護という観点とは別に、ガラホそのものについても、魅力的な商品作りに汗をかいて欲しいものであります。

 京セラにしても他の2社にしても、モチベーションの低さが製品にそのまま現れています。


 製品の特性上、機能で新しいものを加えていくモチベーションが働かないのはやむを得ませんが、筐体のデザインや外側の付加価値の有り様には工夫の余地が大いに残されています。

 車で言えばシャシーとかパワートレインにあたる部分を汎用化してコストを抑え、外側部分で年配男性に好まれるものや年配女性に好まれるもの、かつてのauデザインプロジェクトのようなデザインオリエンテッドな製品群、仮面ライダープリキュアなどとコラボした本物志向のキッズケータイなど、底上げに寄与するような挑戦を重ねていくべきではないでしょうか。

 これまでのようなキャリアマターで物を売る以外にも、海外キャリアとも供給契約を結べるような体制を構築する事で、カシオとコラボしたG'zONEガラホのような尻すぼみにならないようなバイタリティを手に入れる事も出来るでしょう。


 基本的にスマホに向かない人は世界中に一定数がいると思われますから、ここを金鉱脈だと考えて徹底的に深掘りして欲しいものであります。




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 京セラにもかつてはこのようなチャレンジングな製品を作っていた時代が有りました。

ja.wikipedia.org

hodogaya-mock.ocnk.net



 この時のような熱い思いをガラホで再現してくれたら幸いです。


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