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今月から携帯キャリアが販売する全ての端末のSIMロックが禁止される事になります。先月までに発売されたものはOKで、今月以降に発売されるモデルはダメ、という線引きです。
私はこの措置を基本的には情報強者向けだと思っており、あまり知識が充分でない方々に向けてあまり声高にアピールする性質のものではない、とも考えています。
例えば、今後発売されるらくらくホンやらくらくスマホをauやソフトバンク回線で使用するとなれば、らくらくシリーズの1つのウリであるらくらくホンセンターの扱いはどうなるのだ?みたいな複雑な展開が予想されるからです。
離れて暮らす親御さんにらくらくホンを持たせたい。でも自分はauやソフトバンクを使っているから、家族割目的でauやソフトバンクのSIMを刺して実家に送り(もしくは持っていき)それを親御さんに使って頂く。そのようなお考えを持たれる方も、それなりに現れると想像出来ます。
らくらくホンがドコモにしか無いからこそ、他の端末より特に注意して見る必要があるのです。
そしてもしもそういった展開になった時に、渡された側の親御さんはもとより、渡した側の子供さんの側が充分なリテラシーの持ち主であればともかく、そうでない場合、結構大変だと思います。
現在弊社で「モックを本物の携帯と間違って購入される」事例の多くはキッズケータイとなっており、それはつまり幼いお子さんに携帯を持たせようと考えた親御さんがモックを本物の携帯だと間違われて購入しているのでありまして、この事から、「携帯を誰かにプレゼントする為にネットで購入する現役世代」は、結構多いのではないかと見ています。
そして、現役世代だからといって必ずしも充分なリテラシーを持っているとは限らないからこそ、私は懸念を持っているというわけであります。
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「らくらくホン」という商標はドコモのものだと長年思っていたのですが、実はパナソニック株式会社が単独で名義人となっておりまして、ですからパナソニック株式会社の許可さえ得られればSIMフリーのらくらくホンを作って売ることも可能なようであります。
※ 特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
そこで私は考えたのですが、お上にSIMロックを禁じられた以上は、これまでのドコモに100%依存した形態のらくらくホンやらくらくスマホの現状を根本から見直し、富士通コネクテットテクノロジー(以下FCNT)が端末製造とアフターサービスソリューションをトータルパッケージとして売り出す事にしてみてはどうだろうか、と考えています。
現状ではらくらくホンやらくらくスマホの顧客情報をドコモが握っております。ですかららくらくホンセンターを運営できるのはドコモだけであります。
FCNTにモノを尋ねても顧客情報に触れない範囲のメカニックな部分しか答えられないわけで、回線の問題なのか端末の問題なのか顧客からのヒアリングだけで把握のしにくい問題にFCNTが答えを出す事は出来ません。顧客から「今朝から急に電波が通じなくなった!」と聞かれても、その原因が料金未払いによる回線停止だったらFCNTは答えようがない、というものです。
こういった現在の仕組みはSIMロック禁止措置と非常に相性が悪いと言わざるを得ず、ですから今後はSIMフリーのらくらくホン、らくらくスマホを円滑に世に送り出す為の全く新しい仕組みを作らねばなりません。
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これはFCNT社にとって千載一遇の大チャンスではないか、と私は考えています。
というのも、これまでドコモに言われた通りに端末を作って売るだけしか出来なかったFCNTがらくらくホンという既存の商材を使って新たな収益源を、しかも結構大きく得られそうであるからであります。
もしも私がFCNTで縦横無尽に動き回れる立場だったならば、らくらくホンやらくらくスマホを「販売」ではなく、ある種のリース契約の形でアフターサービスから何から丸抱えで対応する、サブスクのようなものとして売り出そうと考えるでしょう。
近年は車の個人向けリース(コスモ石油など)やサブスク(トヨタのキントなど)のように、ただモノとして売るのではない販売形態が勃興しだしておりますけれども、それの携帯電話版をやるのであります。
そしてサービスレベルによって「松コース・竹コース・梅コース」みたいな枠を作り、「一番高価な松コースは月額7000円で見守りサービスや損害保険やセコムかけつけサポートもつきます!」みたいなものにして、全国に直営とFCで数千店規模で店を展開するような事も考えるだろうと思います。
なにせ世は高齢化社会です。大勢の高齢者の皆様に向けたありとあらゆるサービスや商品のコマーシャルがテレビで溢れかえっているわけですが、そういった世界のど真ん中に向けた、世の中の役に立つサービスでFCNTの収益を大幅に伸ばしていける。そういう風な事が妄想されてならないのであります。
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菅義偉現首相が官房長官の頃に言い出して決められた端末値引き規制は菅義偉首相の退陣が見え隠れしだした頃から途端に規制破りが横行するようになりましたけれども、しかしSIMロック禁止の規制まで規制破りが起きるような事は考えにくいのでありまして、そこはそこでこの規制に真正面から向き合って、どのように今後の最適化を成していくべきかを、当事者企業が大急ぎで考えていかなければなりません。
携帯電話産業はなんだかんだ言いつつも年間で20兆円くらいの市場規模を今後もマークし続けていくでしょうから、新規制基準に一刻も早くアジャストし、市場を先行していけるような、新しい動きに期待をしたいと思います。
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