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旧富士通携帯端末部門であるFCNTが倒産してしまったという衝撃的なニュースから、少しの間考え続けておりました。
私は少し富士通とゆかりのある人間ですから感情的な意味で暗い気持ちになってしまいましたし、ソフトランディングする事ができなかったのか?というモヤモヤした気持ちも持ちました。
しかしながら私としては、情緒的なものはこの際横へ置いておき、あくまで今後どうするべきか、私なりに経験に基づいた提案をしていきたいと考えるに至りました。
その提案とはタイトルにも書きましたように、是非ともイオングループにFCNTのスポンサーになって頂き、おサイフケータイにワオンをプリセットして使いやすくしたらくらくホンを作ってイオンモバイルで販売してはどうか?という事を申し上げたいと思います。
ただ端末を作ってSIMを刺して売るだけに留まらず、例えば警備会社や損保会社とコラボした付加価値サービスをオプションで、ワンストップで提供出来るようにするのも良いかもしれません。
また、イオンは中国を中心に海外へも店舗網を展開しておりますが、中国も日本と同様に高齢化が加速している現状がありますし、漢字文化の国でもありますので、中国でもほぼ同じらくらくホンを売ることが出来るのではないでしょうか。
そういった販売網を持つイオンと、高齢者層から絶大な支持を集める旧富士通のらくらくホンで相当なシナジー効果が見込めるのは間違いありません。
FCNTの本社がある大和市のつきみ野の周辺には、やや過剰出店ではと思えるくらいのイオン店舗がひしめいているという間柄でもありますので、是非ともイオングループの経営陣の皆様方におかれましては、ただちにFCNTの救済に乗り出して頂きたいと切に願う所存です。
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私はかつて富士通川崎工場の近くにある携帯ショップで雇われ店長をしていた経験があります。
時期はちょうどらくらくホンの製造を富士通が担うようになった頃だったのもあり、研究開発に携わる方々がお客様の反応はどうかと、結構な頻度で訪れてこられて詳しくお話をさせて頂いたのを昨日のことのように記憶致しております。
携帯電話の開発に携わる皆さんが熱心に取り組んでいるのは従前より存じ上げておりましたが、富士通の方々とお話をさせて頂く中で、本当に心の底から人様の役に立つ携帯電話を作りたいという情熱を感じ、感動しましたし、誇らしく思いました。
大好きな日本の携帯電話はこういった情熱的な人々が作っているのだと、嬉しく思えたのです。尊敬できると思えたのです。
他方で、NTTグループに対する忠誠心の高さも感じていて、それが富士通から今日のFCNTを苦しめた最大の要因ではないかとも考えています。
FCNTになってからもドコモのオーダーに応えてらくらくスマートフォンを作り続けていましたが、これの消費者の評判が芳しくないのは恐らくFCNT内部でも充分理解されていたと思います。
しかしそれでもドコモに対する忠義を尽くし、評判が芳しくないらくらくスマートフォンを作り続けた事が、このような悲劇的な結末に繋がったように思われてなりません。
市場は、消費者はらくらくスマートフォンではなくらくらくホンを求めているのも、たぶんわかっていたと思います。
最後のらくらくホンをリリースしたのが2019年秋ですから、出そうと思えばとっくに新製品を出せていたでしょうし、らくらくホンの新製品を出せばFOMAの巻き取り需要でそれなりの台数を捌けた筈です。
それでFCNTの経営に安心材料をもたらせたに違いありませんが、そこでもまたNTTドコモに対する忠義がそれを邪魔したのではないでしょうか。
そういった意味でも、返す返すも、救えた命を救わなかったドコモに腸が煮えくり返る思いが致します。
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なんとかFCNTを救って頂きたいです。
このままスポンサーが付かずに消滅するのを避けてもらいたいです。
明るいニュースが届くのを待ち続けたいと思います。
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